第88話:ムツキとダークエルフ×3


(※ムツキ視点)


---スケルトンドラゴン三体vsシトと同時間帯---


シトとスケルトンドラゴンが戦う場所から、爆炎が舞い上がる。


その爆炎を一瞥し、ダークエルフの元に走る。


「シトなら大丈夫!」


自分に言い聞かせるように独り言を呟く。


「さてと・・・」


自分の右手の人差し指を舌で舐める。


正直、ここまでコケにされたのは本当に久しぶりだ。


「どう殺してやろうか・・・」


ゆっくりと魔力を解放する。


私の右腕が巨大化して、見慣れた巨大な爪が伸びる。


「シロ、出ておいで!」


左腕から、一匹の白ヘビを召喚する。


「思う存分暴れなさい。」


2mほどの白ヘビが私の身体から分離し、スルスルと離れてその身体を巨大化させる。


「一体は任せるわ。」


白ヘビのシロちゃんは、首を大きく縦に振るとダークエルフに素早く向かっていく。


私もその後に続く。


「キーーヒヒヒヒヒヒ!兄者ー!あいつ、ヘビ女だー!!」


「みろよ!あのヘビのような目つきと鱗!醜いバケモノめ!」


「言ったわね・・・」


この美しい姿をバケモノ呼ばわりされ、イラっとする。


シロちゃんが三体のダークエルフに飛びかかった!


ダークエルフたちはバラバラに飛び散った。


一体のダークエルフをすかさず追いかけるシロちゃん。


私は瞬時に反応し、違う一体のダークエルフを追いかける!


「キーーヒヒヒヒヒヒ!爬虫類ごときが甘いんだよー!!」


大きく飛び上がりながら叫ぶダークエルフ!


・・・


「どっちがだ・・・」


・・・


ダークエルフの背後に素早く周りこみ耳元でささやく。


「ヒッ!!!」


私の素早い動きにやっと気づいたダークエルフ。


「はやっ・・・」


ドゴッ!!!!


その瞬間に、背後からダークエルフの腹部を巨大な爪でつらぬく。


「私に触れたかんだろう?」


私の顔にはねたダークエルフの血を指ですくい舌で舐める。


そのまま、巨大な爪を振り抜き、ダークエルフの身体を真っ二つに切り裂いた。


「ぎゃあああーーーー!!!」


ダークエルフの断末魔が響く。



「ふぅ・・・・」


・・・


「よっ、よくも弟を!!!」


・・・


キーーン!!!!


隙をついて飛びかかってきたもう一体のダークエルフの剣撃を右手で受け止める。


ダークエルフが剣を持つ手に、私の爪が突き刺さる。


「なんて言ってたっけ?靴を舐めろだっけか・・・」


そのまま右手に力を込めていく。


「ぎゃあっ!!!!いだっ!!!いだいーーーーーー!!!」


「このっ!バケモノー!!!」


ダークエルフが私に向かって紫の息を吹きかけた。


紫の霧が私の身体を包む。


「キーーヒヒヒヒヒヒ!毒で痺れろっ!!!」


・・・


・・・



「何かしたのかしら?」


「臭い息を吐きつけやがって・・・」


「毒ヘビに毒が効くとでも・・・?」


さらに右手に力を込める。


ダークエルフの右手に巨大な爪がさらに食い込んでいく。


「ぎゃあああああーーー!!!!」


「おねっ!お願いっ!お願いします!!!たっ、助け・・・、靴をなめっ・・・」


グチャッ!!!!!


「ぎゃああーーーーー!!!」


私はダークエルフの右腕をそのまま握り潰す。


「なっ、なんなんだっ!お前は!!!!!!」


怯えたような表情で私を見つめるダークエルフ。


「私を知らないのか・・・」


「お前ら、新顔か・・・」


・・・


「まあ、どうでもいいか・・・」


左腕に魔力を集中し、徐々に見慣れた鱗と巨大な爪を持つ腕へと変化させていく。


そして、左腕を振り抜き、あっという間にダークエルフの身体を切り刻んだ。


「まさ・・・か・・・貴様は・・・」


身体を切り刻まれて、最後の言葉を発するダークエルフ。


そのまま糸の切れた人形のように地面に転がった。


「さて・・・、シロちゃんは・・・」


シロちゃんは、最後の一体のダークエルフの身体に巻きつき、その首から上を口の中に咥えている。


ダークエルフの身体は真紫まむらさきに変色している。


シロちゃんの毒に犯されて、もう即死しているのだろう。


・・・


・・・


「それ、美味しいの?」


私はシロちゃんに聞くと、シロちゃんは大きく首を横に降った。


「まずいんじゃん!」


シロちゃんにツッコミを入れる。


シロちゃんはゆっくりとダークエルフを口から吐き出した。


もはや、ダークエルフは白目を向いて息をしていない。


「一発ブン殴ってやりたかったのに!」


・・・


シトの方を振り向くと、シトもちょうどこちらを見ていた。


私はシトに向かって、大きく手を振る。


「無事でよかった・・・」


「強く・・・、強くなったわね・・・」


手を振り返すシトを見て、口元が緩むのがわかった。

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