第109話:孵化


ギュイイイイイン!


ゴレさんのイチモツから放たれたは緑と白の光が混ざり合い、巨大な肉の塊に一直線に放たれた!!!


ドゴーーーーーーン!


その光は肉の塊に直撃し、大きな爆発を引き起こす!


赤い肉の塊が辺りに飛び散り、まるで血の池のように地面を覆い尽くす!


「ハア・・・ハア・・・ハア・・・」


正直、今日3回目の魔法刻印の解放で、私の身体が悲鳴をあげている。


一回の刻印解放で使う魔力を極力節約しているが、やはり身体が・・・


自分の身体が、まるで自分のものでないかのように重い・・・


ミナとリリスを見るとやはり同じように、大量の汗を流し肩で息をしていた。


表情にもかなりの疲労が見られる。


巨大化したゴレさんは、ミナの魔力供給が止まると同時に、その姿を小さくし、やがて土の中に消えていった。


「やった・・・」


視界を塞いでいた爆発の煙が、やがておさまり視界がひらけていく。


・・・


「何・・・、あれは・・・!」


・・・


「これは・・・、マユ!!!」


ミナとリリスが叫ぶ!


・・・


・・・


「何かあると思っていたわよー!!!」


「シズクーーー!!!」


私は、ありったけの声を出して合図を送る!


その声に反応し、一つの黒い影があっという間に赤いマユに飛び移り、目にも止まらない早さで、巨大なマユにクナイを突き刺していく!


シズクは初めに刺したクナイに触れ、そして叫んだ!!


「斬っ!!」


クナイとクナイを一閃の光が結び、やがてその光は星型となり光り輝いた!!


赤い巨大なマユは、見事に光の刃に切り刻まれ、バラバラと地面に落ちていく。


その光景を見ながら、私たちの元へ素早く戻ってきたシズク。


「ユラの読み通り。何かあったな。」


大きく頷き、少しの笑みを浮かべて、シズクとハイタッチする。


そう、シズクには奥の手として、私たちが極限の状態になるまで身を潜めてもらっていた!


シズクは、身を潜めてザリオンを倒す機会を狙っていたのだ!


・・・


これで・・・


・・・


「ユラさ・・・ん」


私の背後から、リリスの声が聞こえる。


・・・


「何よ!あれはっ!!」


ミナの声が震えている。


・・・


まさか・・・


・・・・


ゆっくりと振り向くと、そこには漆黒の羽を広げた巨大な蝶・・・


いや・・・


巨大な蛾が空に浮いていた。

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