第95話:戦う覚悟

(※ユラ視点)


「う・・・・ん・・・」


私の膝枕の上でミナがゆっくりと目を開ける。


「ギャアアアアーーーーーー!ムシイヤーーーーーーーー!!!」


ガバッと体を起こすミナ。


「ミナ、大丈夫よ!ムシはもういない!!」


一点を見つめていたミナはハッと我にかえり、私の顔を見つめる。


「ホント?誰が倒したの?」


・・・


・・・


「あなたです・・・、ミナさん」


ミナに先ほどの出来事を説明する。


「ウソ・・・、私、なかなか出来る子ね・・・」


ミナはウンウンと頷いている。


相変わらずの天然っぷりだが、実際にミナは優秀な魔道士である。


ダークエルフの血を受け継ぎ、闇属性の魔法、雷属性の魔法、そして今では地属性の魔法までも使う事ができる。


しかし・・・、


天然なのが・・・、たまに傷だが・・・


ミナがブツブツと独り言を呟く姿を見つめ、フーッと息を吐く。


まあ、なんとかやれてよかった・・・


「さあ、行くわよ!」


私は立ち上がり大樹の方を見つめる。


ミナも立ち上がり、身体のホコリをポンポンとはらう。


「そうね!行きましょう!!」


私たちが見つめる大樹は、暗闇の中に不気味にそびえ立っている。


「ごめんね!もう少しそこでじっとしていて。」


私たちは、先ほどの吸血虫事件で、結界の中で怯えきっているエルフたちに言葉をかけた。


「さあ、最終決戦よ!!」



私たちは大樹へ向かって走り出した。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


-- ユラ&ミナ VS 吸血虫 同時刻 --


(※リリス視点)


私とシズクさんとマーリは、暗闇に紛れて大樹の下にある、私の家を目指す。


いや、と言った方がいい


エルフたちに会うことなく、ここまで来ている。


エルフたちは、ユラさんとミナさんが起こした騒ぎで、みんなそちらに集まっているのでしょう。


でも・・・、


「ギルムンド・・・、なんで・・・」


母上がまだ生きていた頃から、あんなに私と妹のアイラを可愛がってくれたのに・・・


「やはり、今のギルムンドは、別の何かだわ・・・」


「それしか考えられないでしょう。それなら思い切って戦えるというものです!」


マーリが答える。


じゃあ、本物のギルムンドは?


私の心の中で大きな不安がよぎる。


「どの道、ギルムンドとは戦わなければいけない。お覚悟を。」


シズクさんが私たちに向かって話しかける。


私とマーリは、決意を固めて大きく頷いた。

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