第94話:恐怖のミナ
(※ユラ視点)
グチャ!グチャ!グチャ!グチャ!!
歩くたびに嫌な音を立てて近付いてくる二体のモンスター。
私たちは二人で抱き合い、その光景を涙目になりながら見つめる。
一体が片腕をゆっくりとあげて、口の端を釣り上げる。
グチャッ!!!!
その瞬間、その腕がものすごいスピードで伸び、その手が私の目の前のミナの胸を掴んだ!!
手はところどころ穴が空いており、中から赤い虫がピョン!ピョン!と跳ねている!!
・・・
・・・
・・・
「ギャーーーーーーーーー!!!!!!」
私とミナはその手と赤い虫を夢中で払いのける!!!
飛び移った虫が張り付いていたところからは、うっすらと血が流れている。
「こいつら、血を吸ってるわ!!!吸血虫!!!」
赤いムシで繋がれた腕は、あっという間に、身体の元に戻った。
ニヤリと笑う二体のモンスター!!!
二体のモンスターが、私たちに向かって再び両腕をあげる。
「ウソでしょ!!またくるの!!!虫がくるの!!!!」
ミナが嘆くと同時に、4本の腕が伸び、私とミナの胸にへばりついた!!!!
「キャアアアアアアア!!!!!!!」
「ムリーーー!!!!!!!!」
無数の吸血虫が身体に飛びつき、その感覚で背中がゾワゾワする!!
私は慌てて自分の身体から、赤い吸血虫の塊を払う!!!
ミナは、手のカタチになっている虫の塊に胸を揉まれながら、プルプルと小刻みに震えている。
・・・
「ミナーーーー!!!」
「早くっ!!!」
「血を吸われる前に早く!払ってーー!!!」
私はミナに向かって叫ぶ!!!
・・・・
・・・
ミナはまだ動かない。
・・・・
・・・
「キャアアアアーーーーー!!!!!」
その時、ミナの目が光り輝き、ミナはサンダーニードルを構えた!!
両手を高らかに空に向かって突き出している。
「コロス・・・」
「一匹残らずコロス!!!」
「ミッ・・・、ミナ・・・」
・・・
返事がない・・・
・・・
「ミナさん・・・????」
私は唖然として、ミナを見つめた。
・・・
「もしかして・・・」
「ミナさん・・・、怖さのあまり我を忘れている????」
・・・
「虫・・・、嫌い・・・」
・・・
「ホントにムリーーーーーー!!!」
・・・
ミナの叫び声と共に、空に掲げたサンダーニードルに雷が落ちる!!
ビリッ!ビシッ!ビリッ!ビシッ!
ミナの周りに雷の光が飛び散り大気を揺らす。
「ミナさん!!そろそろ正気に戻って!!」
私はミナから距離を取り、様子を伺う。
ゴゴゴゴゴゴ!!!
ミナは不気味な殺気を放ちながら、二体のモンスターに近づいていく!!
二体のモンスターは、再び両腕をあげ、その腕をミナに向けて伸ばした!!
赤い吸血虫を撒き散らしながら、二体のモンスターの手がミナの身体を捉えようとした時、
二体のモンスターの長く伸びた手は、ミナが身体にまとまった雷の光で焼き尽くされた!!
二体の手を構成していた吸血虫たちが、黒焦げになり焼き尽くされていく。
・・・
・・・
「赤い虫・・・、怖い・・・、ムリーーー!!!」
一歩、一歩、二体に近づいていくミナ。
二体のモンスターから、赤い吸血虫が大量にまとまった塊が、ミナに向かって飛び移る!!
「もうムリーーーーー!!!!!」
ミナの身体に纏う雷の光がさらに強くなり、大きく光った!!!
ジューーーーーー!!!!!
飛びかかる吸血虫の塊をドンドンと焼き尽くしていく!!!
「ミナさ・・・ん」
「すごいんですけど・・・」
その光景を呆然と見つめる私。
やがて、全ての吸血虫は、ミナの雷の光に焼き尽くされ、二体のモンスターが立っていた箇所には、2つの赤い塊がモゾモゾと動いている!
「もしかして、あれが本体!!」
その塊に近付くと、吸盤のような口とその周りに小さな牙を生やした、一際大きい二体の吸血虫がモソモソと動いていた!!
気付いた二体の吸血虫が、私に向かって飛び跳ねてきた!!
「やっぱりムリーーーー!!」
その気持ち悪さに逃げようとする私の目の前で、
ジューーーーー!!!
雷の光が、あっという間に二体の吸血虫を丸焦げにした!!
雷の光が発せられた方を向くと、ミナがサンダーニードルをこちらに向かって構えている!!
「ミナさん・・・、もうムシはいないかと思います・・・」
それでも剣を降ろさないミナ。
私はゆっくりとミナに向かって歩み寄る。
「やっぱり・・・」
剣を構えたままのミナの手を握り、ゆっくりとそのまま下ろす。
「泣きながら気絶してるわ・・」
涙と大量の鼻水を流しながら、ミナはそのまま意識を失っていた。
私はミナを抱き抱え、心の奥で誓う。
「本気で怒らせるのはやめよう・・・」
周りの黒焦げにされた大量の吸血虫を見ながら、私はミナの頭を撫でた。
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