第12話:密会!疑い!尾行アフター!

(※ユラ視点)


私とミナは、こっそりと二人のあとをつけていた。なるほど、こういう事だったのね。


「シトめー。」


私たちとのクエストの後に、夜な夜な訓練していたわけだ。そりゃ、毎日疲れているわ。


「シトったら水臭い!私だって本職ではないけど剣術できるのよ!言ってくれたら毎晩手取り足取り教えてあげるのに!!」


プンスカしているミナを横目に、シトに視線を戻す。


動きが別人のように変わっている。ポイズントード1~2体に苦しんでいたはずなのに、今は10体程度をまとめて相手にしている。


この短期間でここまで成長するとは・・・剣士は剣士同士って事か。


しばらく、私とミナはシトの訓練を見守っていた。


「うわーーー!また派手に吹っ飛ばされているわ。」


女剣士の鋭い回し蹴りが、シトの腹部にヒットする。


しかし、あのシズクって人、相当な使い手だ。しかもかなりの美女である。


一体どこで知り合ったんだろう?


吹っ飛ばされる度に、シトを介抱する女剣士。


やがて二人は、仲よさそうに食事を取り始めた。


それを見て、飛び出そうとするミナを取り押さえながら、二人の話に聞き耳を立てる。


「・・・・僕は彼女たちが大好きですから!」


聞こえた。


私の腹部の奥がグッと熱くなる・・・


横をみると、ミナが小刻みに震えて今にも飛び出しそうだ。


あかん、このセクシーボイン、もう抑えられん。


「弱っちいくせに・・・私たちを守るなんて10年早いわよ・・・。さあ、行きましょう。」


嫌がるミナの首根っこを掴んで、こっそりとこの場を離れる。


ふんっ、弱っちいくせに・・・


でも、でも・・・私もミナも年甲斐もなく、口元を緩めていた。


そして二人してブラックバードへの道を急いだ。


もうしばらくそっとしておこう・・・。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「イテテテテッ」


昨日、シズクさんにコテンパにされたので全身が痛い。


僕は大広場の噴水で二人を待つ。


「おっ!!!」


遠くにユラさんと、ミナさんを見つける。珍しい!二人一緒にくるなんて。


「おはようございまーーーす!!!」


僕は大きく手を振る。


毎日が充実している。この毎日は二人がくれたもの・・・。


本当に優しくて、キレイな人たちだ。


ユラさんとミナさんが近づいてくる。


ビシッ!


「イッターーイ!」


「いつも、いつも声がでかい!」


ユラさんの脳天チョップを頭に受ける。


「おはよっ。」


むぎゅーーーーーー!


おおっ!!!!


ミナさんに強く抱きしめられて、顔が胸の中に埋まる。


柔らかい・・・。このまま天国にいけそうなくらい柔らかい。


ビシッ!


「イチャイチャしない。さあ、今日もしっかり稼ぐわよ!社長!早くもっと給与あげてね。」


「うっ、、、、それはもう少し待って・・・」


「私は、別のもので払ってくれてもいいんだけね。」


ミナさんはまた僕の顔を胸に埋める!


「さあ、いくわよ!シト!」


ユラさんとミナさんが笑顔で僕をみている。


本当にキレイな人たちだ。


「はいっ!!!!!」


今日も精一杯生きよう!素敵な仲間と共に!

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