第91話:エルフの捕獲
(※ユラ視点)
「なんだ!あのゴーレムは!!!」
「護衛隊はまだか!!」
「きゃああーーー!!!!」
-----
「そろそろ頃合いかも。」
ゴレさんの騒ぎを聞きつけて、武装したエルフたちが集まって騒いでいる。
私とミナは近くの草むらに隠れ、その様子を見守る。
ゴレさんは、胸を拳でドンドンと叩きつけて、奇声をあげている。
「ゴモオオオオオッーーーーーー!!」
「ナイス!マッスルアピール!」
ミナがゴレさんの方に向かって、グッドサインを出している。
大勢のエルフたちがゴレさんの周りに集まっている。
「さて、今度は私の番ね!」
指を噛み、少しの血を出して、私の胸の上の森の魔法刻印にあてる。
刻印は緑色に輝き始める。
私がムア爺から受け継いだ魔法刻印は、森の精霊の力を秘めている。
ミナは土の精霊の力だ。
「もうっ!本当にこの呪文いやー!!」
「しょうがないでしょ!私たちの師匠の意向なんだから!」
嫌がる私をミナが諌める。
師匠・・・
そうね・・・
・・・
ムア爺のスケベな顔が脳裏をよぎる。
・・・
全くもう、あのエロ師匠!!!
・・・
いつか変えさせてやる!絶対生きていてよね・・・
・・・
「もう!!いくわよーーー!!!!」
「ムアサマワタシノムネヲモチモチシテーン!」
刻印開放の呪文を叫んだ!
強大な魔力が湧き上がるのを感じる!
私の身体を緑色のオーラが包む。
「ふう・・・」
エルフが集合している場所に両手をかざす。
「森の精霊、エンシェント・エント!森の力を貸したまえ!」
「樹木結界!!!!」
私の叫び声と共に、辺りの森の木々が緑色に輝き始め、大きく凪いでユサユサとその枝葉を揺らす。
多くの木々の枝が素早く伸び、エルフたちの周りをドンドンと囲っていく。
「なんだっ!!!これは!!」
「森の精霊魔法!!」
「しまった!!!!」
エルフたちが驚いている間に、あっという間にその周りを伸びた大量の木々の枝と、緑色の光が包み込んだ!!
「ふぅ・・・・、うまくいったわ!!!」
「さっすがーーー!ムア爺の弟子!!!」
ミナが茶化してくる。
リリスの隠れ家に潜んでいた時に、リリスにムア爺と森の精霊魔法について訪ねた。
リリスはムア爺と共に戦った事があると聞いていたので、ムア爺が一体どんな魔法を使っていたか、聞いてみたのだ。
そして、私にも使えそうな魔法をミナと一緒に研究していたのだ。
その一つがこの結界魔法だ!
「流石にこの規模でやるのは、ドキドキしたわ!!」
ミナに向かって笑いかける。
「戻っていいわよ!ゴレさん!!」
ゴレさんはミナの掛け声と共に、あっという間に小さく縮んで、土の中へ吸い込まれるように帰っていく。
土に潜る際に、私たちに手を振る仕草が愛らしい。
やっぱりゴレさんは、このサイズが一番好きだ。
「この結界ならしばらく持つでしょう!!」
私はエルフたちの方を見つめた。
・・・
・・・
その時、
「これは、これは・・・、あの時の侵入者ではないか・・・」
声の方を振り向くと、そこには10人ほどの部下を連れた、マッチョなエルフの護衛隊長、バルバトスが腕組みをして立っていた。
「今回は遅れてよかったというものか。なあ、ランドよ。」
マッチョなバルバトスとは異なり、ほっそりとした、金色のおかっぱの男がニヤニヤしながら頷く。
「これはエルフ族に向かっての侵略と考えていいのかな?下等種族のお二人さん」
「きゃははははは!」
バルバトスの言葉にランドという男が狂ったように笑って反応する。
・・・
・・・
「しまった!一番捕獲したかった奴を逃したわ・・・」
「ちっ!だからエルフは嫌いなのよ!」
ミナはイラつきを隠せない。
私とミナは、バルバトスに向かって武器を構えた!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます