第92話:護衛隊長の本性
(※ユラ視点)
「お前たち、武器を捨てて投降しろ!」
「ギルムンド様の元に連れていく!」
一人の兵士が槍を構えて一歩前に出る。
その時!
ザシュッ!!!!
槍を構えた兵士の首と胴体がゆっくりと離れ、そして地面に転がった!
「おいおい。エルフ風情が俺の前に立つんじゃないよ・・・」
バルバトスが、自らの剣に付いている兵士の血を舌で舐める。
その表情は、なんとも恍惚に浸っており、狂気を感じさせる!
「なっ!!!」
私とミナは目を見開く!
その風景をみていた結界の中のエルフたちの叫び声が響く!!
「隊長!!なっ、なにを・・・」
ザシュッ!!
バルバトスに近付く兵士の腹部を、ランドの剣が貫いている。
「なっ・・・、ランド・・・さ・・・・」
ランドに刺された兵士は、膝を折り地面に倒れた。
私とミナは突然の光景を目の前に動けない。
「あーーーあ、殺しちゃった・・・、ザリオン様に怒られるぅぅ・・・」
ランドと名乗った男は、血のついた自らの剣を舌でゆっくりとなぞる。
「ザリオン様も、もうこいつらの相手に飽きてるはずだ・・・」
「ザリオン様が蹂躙する前に、ちょっとだけ味見ぐらいいいだろうぅぅあ。」
ザリオン???
だれっ???
「それよりも、流石に魔力の高い種族の血は上手くてたまらない・・・」
「も・・・、我慢できナイ・・・モウ・・・ゼンイン・・クッチマオウ・・・」
その時、バルバトスの外見を型取っていた皮膚が真っ二つに引き裂かれ、血しぶきが舞った。
そしてその中から、真っ赤な身体と長い腕を持つ異形のモンスターが姿を現した。
その表情は赤い爬虫類のような目、耳まで裂けた口からは長い舌が動いている。
「キャハハハハ!オンナ・・・ドモハ・・・オカシテカラ・・・ダ」
ランドと呼ばれていた男も同じように、もはやエルフの外見はない。
自らの剣を両手でもち、相変わらず、刀身についたエルフの血を舐めましている。
「なっ!!!こいつら、モンスターが化けていたっていうの!!!」
ミナが叫ぶ。
「キャハハハハハ!!!ウマイ・・・、エルフノチ・・・」
二体のモンスターは、あっという間に、エルフの兵士たちを全員切り裂いた。
まるで線の切れた人形のように地面に倒れ、血を流す兵士たち。
二体のモンスターは、四つん這いになり、その流れる血を啜っている。
あたりには、赤い血しぶきなのか、無数の赤いモノが飛び散っている。
「ウッ・・・ウンメイ!エルフノチ・・・」
「キャハハハハハ・・・・・ニク・・・ニクモウマイ!!!」
「うっ!!!」
その光景をみて、胃の中のものが逆流しそうになるのを必死に堪える。
「この化物・・・、吸血種??」
ミナが隣で呟く。
ひとしきり血を啜った二体のモンスターは動きを止め、エルフたちのいる結界を眺めている。
「まずいっ!!!!」
「エアリアルショットーーー!!!!」
二体のモンスターに向かって、威嚇の風の魔力弾を放つ!!
「ミナッ!!!!」
ミナの方を見る!
ミナは大きく頷き、武器を構える。
「あんたらの相手は私たちよっ!!!」
二体のモンスターは、耳まで避けた口をニヤリと釣り上げて、私たちに向き合った!
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