第82話:救出作戦スタート!

(※ユラ視点)


「ムツキ、無理しないで!」


隠れ家の結界の入り口でムツキを見送る。


「ああ。みんなも気をつけて。ダークエルフを倒したら、私もすぐに神秘の森に向かうわ。」


「はい、これ!」


ムツキに神秘の森の結界を開けるを手渡す。


ムツキと視線を合わせて、微笑みながら握手をする。


今回のエルフ救出作戦は、予定通り3つのチームに分けることになった。


ダークエルフの誘導と討伐、ムツキ


エルフたちの誘導と足止め、私、ミナ


エルフを操るモンスターの討伐、リリス、マーリ、シズク、シト


まずは、ムツキがダークエルフの囮となり誘導する。


その後に、残りのメンバーで神秘の森まで走り、森の中で二つのチームに別れる作戦だ。


ムツキはみんなに手を振ると、結界の外へ消えていった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




小一時間経過した後、私たちも結界から出て、神秘の森へと足早に進んでいる。


ムツキは本当に一人で大丈夫だろうか・・・


昨晩の話からすると、少し心配である。


その時、前を歩くシトがボソッと呟く。


「ダークエルフは一人なのかな・・・」


・・・


・・・


・・・


「今、なんて言ったの?シト」


「いやっ、ダークエルフは一人なのかなって・・・」


「何でそう思うの?」


私はシトに詰め寄る。


「あの・・・、ギルムンドとダークエルフの会話で、ダークエルフがって言った気がして。」


シズクもウンウンと頷いている。


・・・


・・・


しまったっ!!!!


・・・


「しまった!!敵はダークエルフ一人だけかと思っていたわ・・・」


「複数の可能性を気にしていなかった・・・」


しゃがみこんで頭を抱える。


「でも、ムツキさんなら強いですし・・・」


シトが慌てた素ぶりで話す。


「違う・・・、今のムツキは彼女の全盛期ほどの力を使えないの・・・」


「あの結界大戦で、彼女はだいぶ力を失ってしまっている。」


「確かに彼女は強いわ!でも八大将軍のような圧倒的な魔力はもう持っていないの・・・」


私は、昨晩のお風呂の話をみんなに説明した。


・・・


沈黙が流れる


・・・


・・・


バチンッ!!!!


自分の頬を両手で思いっきり叩く。


叩いた両側の頬がジンジンする。


だめだっ!!!


いつまでも間違った判断を後悔してもしょうがない!


対策を考えないと!


「チビちゃん!」


私は、声を荒げて、一匹の小さな白ヘビを探す。


すると、近くの草むらからスルスルと一匹の白ヘビが現れ、私の身体を這い、腕に絡まる。


「チビちゃん、ムツキの事は追えるわよね?」


チビちゃんは、舌をチロチロと出し、長い首を縦に振る。


「いい子!!!」


チビちゃんの頭を撫でる。


「みんな、チーム分け変更よ!」


「シト、今すぐにチビちゃんとムツキを追いかけて!リリス、マーリ、シズク、援軍が来るまで三人でモンスターとギルムンドの対応をお願い!戦力が減ってしまうけど・・・、まずはムツキへの援軍が優先よ!!」


みんなが頷く。


私の腕から、シトの腕へと移動するチビちゃん。


「シト、お願い!!!ムツキを助けてあげて!」


シトの目を見つめる。


「はいっ!!!!」


「行ってきます!!」


シトは勢いよく、チビちゃんと走り出した。


ムツキ・・・無事でいて!


シトを見送り、私たちも足を早めた。

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