第7章:クルビレ湿地帯の嬢王

第35話:クルビレ湿地帯の住人

「うわーーーー!これがクルビレ湿地帯!」


長い山道を抜けてきた僕たちの目の前に、雄大な自然の景色が現れた。大きな川が流れ、その脇には木々が生い茂り、所々に大きな池のような水たまりが見える。その雄大さに僕は思わず声をあげた。


「この湿地帯は、様々な種族が住んでいる地域よ。確か、アマゾネス、獣人、リザードマンがそれぞれの領地に住んでいると言われているわ。実際、私も来たのは初めてだから、その真意はわからないけどね。」


ユラさんが湿地帯を見下ろしながら話す。


「夜が更けるまで、ここで少し休みしょう。正直、アマゾネスとは会いたくないわ。間違いなく狙われる人がいるだろうからね・・・」


ミナさんは、岩に腰掛けながら僕の方をチラっと見つめた。


ミナさんが僕を見ている。


ん?何だろう・・・?。


「ジメジメして気持ちが悪い。」


シズクさんは、さっきからスカートをパタパタと上げたり下げたりしている。


上げた時に、黒のパンツが視界に入り、僕はチラチラと見てしまう。


そんな、シズクさんの頭をペシっと殴り、ユラさんが続ける。


「そうね、ずっと歩きっぱなしだったから、夜になるまでここで休みましょう。今晩は、一晩中歩きっぱなしになるわよ。交代で睡眠を取っておきましょう。」


僕らは頷き、それぞれの役割分担が始まった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


夜も暮れ、怪しげな獣の鳴き声が聞こえる。


湿地帯に入ってから歩き続けて、数時間は経っているだろう。


僕たちは灯りを照らすことなく、月明かりだけを頼りに獣道を進む。


隣には大きな川が流れており、時々大きな水が跳ねる音が響き渡る。巨大な夜行性の水生生物が、獲物を狩っている音なのかもしれない。


そんなことを考えていると、先頭を歩くシズクさんが、ハンドサインで"止まれ"の合図をする。


息を殺して、警戒する僕たち。


その時・・・・


ザザッ!


草木が一斉に揺れる音が聞こえた瞬間、周りに複数の影が出現する。


「っ、囲まれてる!!」


シズクさんが腰に刺さったダガーを抜く。


その行動に合わせて、僕もサラマンダーダガーを抜き、戦闘に備えた。


月明かりが影を照らす。


そこには、剣や槍、斧などで武装した十数体の獣人が、今にも僕たちに襲い掛かりそうな臨戦態勢を取っている。狼のような外見のもの、虎のような外見の獣人が入り混じり、低い唸り声をあげている。


「グルルルルルル!」


低い唸り声が響く。


「みんな、来るわよ!」


ミナさんが、レイピアを構えて叫ぶ。


その瞬間、獣人達は一斉に僕たちに襲いかかってきた。


「グアアアアア!!!」


僕たちは武器を構え、襲撃に備える。


その時・・・・


ヒュンッ!!


風切り音と共に、先頭を走る一匹の獣人の頭に斧が突き刺さった。


「ギャアアアア!」


血しぶきと共に、獣人の断末魔の声が響き渡る。


その後に、続いていた二体の獣人にもダガーと短剣が突き刺さった。


「おい!ワンコロ供!勝手に人様の領域を荒らすとは何事だー!!!」


僕たちは、声の方向へ視線を向ける。


そこには・・・・


地面から突き出た岩の上に、大きな斧を肩に担いだ女性が立っていた。


月明かりで見えるその姿、長い髪を後ろで1本の三つ編みにまとめた美女、僕よりもだいぶ大きい身長、そして何とも目に引くのは、ミナさん以上の大きな胸。胸当てからはみ出んばかりの胸が揺れている。大きな胸から繋がるウエストは程よい筋肉で引きしまっており、その下にはプリッと引き締まった巨大なお尻に目がとまる。


月明かりに照らされた、その雄姿に見惚れてしまう。


「おい!やっちまいな!!!」


その女性の掛け声と共に、後ろからは数十体の女戦士が、獣人に向かって走り出す。


獣人と女戦士の勇ましい雄叫びと、武器と武器がぶつかり合う鈍い金属音が辺りに響く。


やがて、一体の獣人の鳴き声を合図に、獣人達はあっという間に姿を消した。


・・・


・・・


僕たちは呆気に取られていた意識を取り戻し、リーダーと思われる女戦士を見る。


女戦士は、岩の上から僕たちのことを冷めた視線で物色し、口を開いた。


「おいっ、次はてめえらの番だ!」


リーダー格の女戦士の声と共に、十数体の女戦士が僕らを取り囲んだ。



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