第48話:マッチョな食卓
(※ユラ視点)
ドワーフの秘密基地。
夕食の時、複数の長テーブルに、屈強なマッチョたちがずらりと並ぶ。
そして、猛獣のように料理を貪り、果実酒を豪快にゴクゴクと飲み干していく。
その光景はまさに圧巻だ!
「すごい・・・、マッチョな世界よね・・・」
ミナですら、その豪快さに引いている。
ローザが助っ人として連れてきた、屈強な女戦士のアマゾネスたちでさえも、その光景をみてドン引きしていた。
私たちは、ドワーフの長で、ムア爺のかつてのパーティ仲間であったドルさん(ドルスキンさん)と、アマゾネスの嬢王ローザの目の前に座る。
「まずはあの火竜を地面に落とさんと話にならん。」
ドルさんは、果実酒をゴクリと飲み、話し続ける。
「昼間に奴を追い払った武器は、わしらドワーフ族の技術で作った、大砲"ドワーフ砲"じゃよ。そこそこの火力はあると思うんじゃが、奴を地面に落とすまでに至っとらん。」
「後は、魔法か・・・、そうじゃ。お主ら二人は魔道士だったの。ちと戦力を教えてくれんか。」
ドルさんは、私とミナに視線を向ける。
私とミナはお互いの得意魔法と、ムア爺から受け取った土と森の魔法刻印のことを話した。
「ふむ。いい戦力じゃ。そう言えばお主らはゴレさんに会ったか?」
ドルさんはヒゲをさすりながら話す。
隣では、ローザが果実酒をゆっくりと飲みながら話を聞いている。
「ゴレさんを知っているの?ゴレさんならここに・・・」
ミナは、地面に手をかざし召喚の呪文を
地面が赤く光り、ボコボコと盛り上がる。そこから幼い子供ぐらいの大きさのゴーレム、ゴレさんが現れた。
「あれっ???また小さくなってる?」
この前は大男のマッチョな姿で、アマゾネスの土地開拓を手伝っていたはずなのに・・・。
「そうなの。イロイロ試してみたんだけど、私がゴレさんに与える魔力量によって大きさが変わるみたいなのよね。今みたいにほんの少しの魔力で召喚する場合は、これぐらいの小さいサイズになるみたい。」
ミナが、手を動かしながら解説する。
「ふーん、なんかいいわね。」
私はこれぐらい小さいゴレさんが可愛くて好きだ。
ゴレさんは、私たちに気づき猛ダッシュしてくる。
その飛び込んだ先は、意外にもドルさんのところだった。
「おー、おー、ゴレさんや!懐かしいの!存命であったか。何よりじゃ。」
ゴレさんは、ドルさんに抱きつき体をプルプルさせている。
「ムアは大丈夫じゃ・・・。心配するでない。」
ドルさんは、優しい顔でゴレさんを撫でる。
急に真剣な顔で私たちを見つめるドルさん。
「お主が今のゴレさんの主人と言うわけじゃな。ゴレさんがいるなら、火竜を撃ち落とせるかもしれん。」
「ええええっーーーーー!!!!!」
私たちは、一斉にゴレさんを見る。
ゴレさんは、意味がわかっていないようで首を傾けていた。
「そっちの戦士二人はどうじゃ。」
シトが席を立ち、袋に入った魔剣、
ガジュラとの戦いで、その刀身はボロボロだ。
「こりゃまた懐かしい代物が出てきおったわい。うむ、この二本の魔剣はちと改良するかの。」
「えっ・・・、懐かしいって・・・」
シズクが問う。
「うむ。いかにも。この二本はワシが打った剣じゃが。」
私たち全員は、再び
「後は手紙に書かれていた、ベリエルと何かしらの関係がありそうな少年は・・・、お主じゃの?」
ドルさんは、シトを見つめてヒゲをさする。
・・・
「ガジュラめを消滅させたとあるが・・・、まあ・・・何にせよ、そんな強大な力を使って無事であるはずがないわの。その力は極力使わんことじゃ。良いな少年。」
シトはドルさんを見つめて、大きく返事をした。
「後はエロい体術と色々カチカチ。」
シズクがわざと照れ臭そうにしながらシトを紹介する。
ローザが手を口に当てて、ここぞとばかりに赤面している。
キョトンとするドルさん。
「ワハハハハハハッ!!!」
「それは良い!良い!エロい体術とカチカチかー!そりゃー、使い所がたくさんありそうじゃて!!」
ドルさんは豪快に笑い、果実酒を飲み干した。
ムア爺とは全く違うんだけど、その醸し出す雰囲気になぜか心が休まる。
「よし!明日から作戦会議じゃ。たくさん食って、寝て、今晩は精気を蓄えるのじゃ!」
ドルさんは豪快に笑い、ドワーフ達に叫んだ。
それに答えるように、ドワーフ達の野太い雄叫びが響く。
私たちも自然と笑みを浮かべ、その雰囲気を楽しんだ。
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