第50話:湯上りのバカップル

「シト様、お風呂上がりに、一杯いかがです?」


温泉を出た後、突然、アマゾネスの美女に腕を掴まれた。


ああっ、腕にアマゾネスさんの大きい胸が当たっている。


「おいっ!何言ってるの!シト様は私と岩陰で火照った身体を冷ますのよ!」


「ざけんなよっ!もっと火照るつもりだろう!」


「シト様は私と一緒にお夜食を食べるの!!」


・・・


・・・


ああっ・・・


どうしてこうなっているんだろう・・・


・・・


目の前では数人のアマゾネスさん達がケンカしている。


僕は立ちすくんで、その光景をボーと眺めている。


「シト殿、やはりモテますな。しかし、あの技は男にも・・・」


一人のマッチョなドワーフが隣で囁く。


「知りません・・・・」


僕は返事をしてガクッとうな垂れた。


バシッ!!!


「痛いっ!!」


すごい力で背中を叩かれる。


「ガハハハ!!!シャキっとせんかい!女にモテるのも強い男の特権ぞ!」


「ドルさん・・・」


「おい!坊主!ちょっと顔かせっ!湯冷ましがてら散歩と行こうぞ!」


首根っこを掴まれて、ドルさんに連行された。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「すごい・・・」



部屋中に剣や斧、よくわからない武器、鎧などが置かれ、壁にはたくさんの書物が並んでいる。


僕はドルさんに案内された部屋にいる。


ここはドルさんの隠れ家的部屋らしい。


そしてそこにはユラさん、ミナさん、シズクさん、ローザさんの姿があった。


みんな、湯上り後でなんだか・・・、とっても色っぽい!!!


ローザさんは、赤いブラジャーとTバックの下着の上に、薄いスケスケのローブを羽織っている。

ユラさんは、白のタンクトップと、黒のホットパンツ姿。

ミナさんは黒のブラジャーとTバックの下着に、同じく黒のスケスケのローブを羽織っている。

シズクさんは、黒のタンクトップとミニスカート姿。


ムチムチの胸とお尻が、服からはみ出していて、目のやり場に困ってしまう。


ローザさんが、みんなのグラスに果実酒を注いでいる。


「ふぅーーーー、いい湯じゃったろう?」


ドルさんはゆっくりと椅子に腰掛け、ヒゲをさすりながら話す。


僕たちもそれぞれ、空いている席に腰掛ける。


「さて、疲れているところ呼び出してすまんな。お主らと少し話がしたくての。結界戦争、八大将軍の話はどこまで知っておる?ムアから少しは聞いたか?」


ユラさんが説明する。


かつて、キングス大陸に起こった結界戦争、北の領地に住まう闇のモンスターと、南に住まうヒューマンの間で起こった大きな戦争。その戦争に終止符を打った冒険者パーティーがいた。


大樹木は、その中の一人、アイラ・エルフィードというエルフが召喚した神樹で、それに全魔力を注いで大樹海の結界を作った者が、モンスター側の八大将軍の一人、ベリエルというモンスターであること。


それ以降、このキングス大陸は北のモンスター領域と、南のヒューマンの領域に分けられたこと。


しかし、大樹海の結界の効果が薄れ、強力なモンスターがヒューマンの領域に出現していること。


そして・・・


モンスターの進軍が予測されること。


「ふむ。そこまで知っているなら話が早い。ワシが思うに、やはりモンスターは何かしらの方法で結界を破る方法を見つけ、ヒューマンの領域に進行し始めるであろう。ガジュラもそうじゃが、ワシらが倒した八大将軍まで、なぜか復活しておるとのことじゃ。」


「近々、結界戦争は再度引き起こされるに違いあるまいて。」


「そして、お主らはすでに片足を突っ込んでしまっておる。」


「ガジュラを倒したヒューマンのパーティ。奴らにとって裏切り者のベリエルの力を使った少年・・・。まず、お主らは危険な要素として狙われるであろう。」


「この火竜退治が終わったら、ワシのできる限りの援助はしようぞ。ローランド帝国にも、ドワーフ族は全面協力する旨を伝える使者を送るとしようぞ。」


「私たち、アマゾネス族も全面協力を約束する。」


ローザさんはドルさんの肩に手を置き、同調する。


「ありがとうございます!!!」


僕たちは深々と頭を下げた。


「うむ、そこでじゃ、協力するに当たって、1つ条件があるのじゃが・・・。」


「はい、私たちにできることがあれば!」


ミナさんが返事をする。


「うむ!全員立って後ろを向くがよい!」


僕たちは全員立って、後ろを向く。


「おい!坊主!お前は一体何をしている?」


「はい????」


後ろを振り向くと、ドルさんが手で僕を払いのける仕草をする。


ドルさんの指示に従い、僕はその場から少し離れた。


「これは・・・」


「なんとも・・・素晴らしい!!!」


ドルさんはヒゲをさすりながら立ち上がり、ユラさん、ミナさん、シズクさんに近付く。


「きゃっーーー!!!」


「いやーーーん!!」


「あんっ・・・」


ドルさんは、ユラさん、ミナさん、シズクさんのお尻を撫で回し、顔を擦り寄せ始めた!!


「うおっーーー!!なんてよい尻じゃて!!!!!」


「プリプリのモチモチじゃーーーー!!!!」


「ムアのアホめ!!女は乳じゃなくて、尻じゃ!!!」


「ガハハハハ!!最高の美尻じゃーーー!!美尻祭りじゃーーー!!!」


その瞬間・・・、


ユラさんの脳天チョップが炸裂する前に、ローザさんに思いっきり蹴られ、ドルさんが壁まで吹っ飛んだ!!


ローザさんは、肩を震わせている。


「シト・・・!!!」


「はい!」


泣いているのだろうか?



・・・



・・・



「シト!!あの男!もう耐えられない!今晩はムツキ・スペシャルで私を慰めてくれ!!」


ローザさんが僕を抱き寄せ、大きな胸に僕の顔を埋める!!


「ムゴ!ムゴ!ムゴ!!ローザさ・・・ん、息が・・・」


息ができない!!!!


「ちょっと!どさくさに紛れてなにやってるの、この女!!」


「私の弟子に何をする。今晩添い寝するのは私。」


ミナさんと、シズクさんが僕の体を引っ張る。


ビシッ!!!


「いたっ!!!」


ローザさんの頭にユラさんの脳天チョップが炸裂した。


「なんなの???このバカップル!!!真面目に火竜の対策を考えなさい!!」


ユラさんに叱られた二人・・・


僕たちはその後、火竜の対策を真面目に練ることになった。

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