第106話:ザリオンの本性

(※ユラ視点)


ゆっくりと歩きながら、エルフのマユから飛び出してきたムシを鷲掴みにするザリオン。


そして、耳まで裂けた口を大きく開き、躊躇なくムシを放り込む。


空を舞う巨大なハチのモンスターを迎撃しながら、横目でそんなザリオンの姿を追う。


ミナ、そしてリリスが連続して魔法攻撃を放つが、強固な魔法防壁にはじかれてしまう。


「アハハハ!!!」


「アハハハハハ!!!!!!」


ザリオンが発狂し、その雄叫びが腹の底まで響く。


そしてザリオンが、最後の一匹を口の中に放り込んだ時・・・


・・・


ボコッ!!


・・・


ボコ!!ボコ!


「今度は何よ!!!」


ミナが叫ぶ!


目の前で、ザリオンの身体の一部一部が風船のように膨らんでいる!


「ちょっと・・・」


「一体なんなのよ・・・」


私はその光景に息を飲む。


やがて、その風船のような膨らみは増え続け、ザリオンの赤い身体がドンドンと膨れ上がり、巨大な肉の塊へと変貌していった。


ザリオンの身体はもはや人間の体をなしてはおらず、巨大な塊となって、辺りの建物や、草木を破壊していく!


「まずい!!!!」


「ミナ!リリス!離れて!!!」


一瞬、止まった思考を取り戻し、みんなに向かって叫ぶ!


私の声をきっかけにミナとリリスの元へ駆け寄る。


まだ身体の自由が効かないマーリを二人で抱き抱え、浮遊魔法をかける。


そして、私たちは後方に大きく距離をとった。


目の前では、巨大な赤い塊がさらに肥大化を続けている。


その大きさは、すでに20mほどに達し、リリスの住居を見事に破壊した。


「まさか・・・あれが本来のザリオンの姿・・・」


これまで戦っていた八大将軍は、その外見を変化する度に、想像を絶する強い魔力を放つモンスターへと進化していった。


身体が覚えているのか・・・


私の身体から一瞬にして冷たい汗が吹き出るのがわかった。


「まずいわよ・・・」


マーリに肩を貸しているミナも、その表情を大きく曇らせた。

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