第8話:良好な人間関係は酒と肉から始める。

ここは、七番街の飲食街になる隠れた名店『ブラックバード』。


僕たち3人は、クエストの報酬を得た後、ミナさんの強引な誘いもあり、

ここ『ブラックバード』で夕飯を食べていた。


ミナさんがご馳走してくれると話した時、ユラさんは迷わずこのお店を選んだ。


「カンパーーーーーーイ!!」


ミナさんは、僕とユラさんのグラスに強引にグラスを当てて、ゴキュ!ゴキュ!と果実酒を豪快に飲んでいる。


「プハッ!!!うまーーーーーい!!!ここの果実酒は最高ね!!!!」


僕とユラさんは、お互い顔を見合わせて苦笑した。


ここの名物料理は、果実酒とブラックバードという珍しい鳥の丸焼きである。


ユラさんはここのブラックバードの丸焼きが大好物らしく、先ほどからむしゃぶるように食べている。


いい感じにお酒の入ったミナさんが、泣きながら身の上話を始めている。


ある人の十三番目の妻であること。結婚したけど、数ヶ月に一回しか会えないこと。ほぼ一人の生活が、もう10年ほど続いていること。正直、寂しくて、もういろいろ欲求不満であること。


「うえええええん!わかる?わかる?結婚してもずっと一人なのよーーー!これじゃ!ヘビの生殺しよ!!!」


ゴキュ!ゴキュ!ゴキュ!ダン!!!


僕はまあまあとミナさんを慰める。


その時・・・


ゴキュ!ゴキュ!ゴキュ!ダン!!


「わかる・・・!わかるわ・・・・!このままずっと一人で生きていくかと思うと・・・エグッ!エグッ!」


「えっ????ユラさん???」


「店員さーーーん!果実酒2つ、あと丸焼き1つ追加ね!!!」


二人とも酔っている・・・・


「ヒグッ・・エグッ・・・。ユラ、わかってくれるの?アナタも一人なの?」


「ずっと一人よ!ここ数年ずっとひとりぼっちよ!!」


豪快に抱き合う二人・・・・


仲良くなっている???


この後、僕は酔っ払い二人の愚痴を数時間聞くことになる。


こうして僕らは3人になった。


パート契約という形態だけと、僕には二人の大切な仲間ができた。


二人の話を聞きながら、心の中で強くなろうと新たに決意を燃やした。


そう思っていた時・・・


ビシッ!

ビシッ!


「ちょっと聞いているの?シト!!!」


二人から脳天チョップを食らう!


「いったーーーーい!!!はい!はい!聞いてますよ!」


聞いてないでしょ!と二人が騒ぐ!


その度に4つの大きな胸が揺れる。


これが幸せというものか・・・・


心の中でガッツポーズをしながら、二人を笑顔で見つめる。


[第2章・完]

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