第14話:黒幕、許すまじ!

ここはいつもの『ブラックバード』。


僕とユラさんとミナさんは、シズクさんを囲んで話を聞いていた。


昔、シズクさんの娘さんは謎の病にかかり、治すにはとても貴重な薬が必要だった。


シズクさんは、薬を持つというある組織のボスから薬をもらう代わりに、多大な借金を背負わされていた。


その借金を返済するために、組織から盗みの依頼を受けていたのだ。シズクさんは、盗みの仕事がイヤで、お金は違う方法で返すことをずっとお願いしていた。


組織の仕事をやりたくないと、ずっとお願いしていたのだ。


そして、今回が最後の手切れの依頼だった。


「娘さんは今は元気なの?」


ユラさんは、真剣な表情でシズクさんに話しかける。


シズクさんは首を振る。


「病気は治ったの。でも・・・・」


シズクさんは口をつぐんだ。


「病気が良くなってから、私が組織の依頼で3日ほど家を空ける時があった。ボロボロになって家に帰ると、そこには夫と娘の姿がなかった。」


「何日も・・・何日も帰ってこなかった・・・」


ユラさんと、ミナさんがお互い悲しそうな顔で視線を合わせる。


「私はそれからずっと2人を探している。」



・・・・・


・・・・・


正直、頭にきた!!!!


ユラさんとミナさんの背後からもドス黒いオーラが見える。


二人の目が怖い・・・。


闇組織、許すまじ!


「今晩!僕はその組織に行きます!!」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


僕らの前には、組織のボス、ドン・コルネアと名乗る男がいる。


豪華な机といかにも高そうな椅子に座っている。


僕たちはシズクさんから組織の場所を聞き出し、建物の中に入った。


もちろん警備の屈強な男たちに行く手を阻まれたが、彼らに僕らを止める術はなかった。


ユラさんとミナさんにより、警備の者たちは全員気絶させられている。


僕の怒りも頂点に達していた。


「そんな目くじらたてんと、皆さん。まだそちらの女性の借金も残ってるんや。これは契約でっせ。」


ドンは葉巻を吹かしながら、ニヤニヤと笑っている。


「残りの金額は?」


ユラさんが怒りの表情を浮かべながら、ドンを問い詰める。


ドンが引き出しを開け、1枚の紙を出す。


「この金額、兄さんたちが肩代わりしてくれるんやったら、そのお姉さんは自由やで。」


ドスッ!!!!!!!!!


僕はお金の入った袋を机の上に置く。


「二度と!二度と!この人に関わらないと約束しろ!」


ドンは中身をみて、いやらしく口端を吊り上げた。


「確かに。この件はこれで終わりや。そちらの女性は、もううちとは関係ありません。お釣りは、うちの部下の治療費として使わせてもらうということでひとつ。」


袋の中身を確認しながらドンは続ける。


「そうそう。随分昔に、ご主人さんがシズクさんの事をしつこく聞いてきたさかい、裏のお仕事を手伝ってもらってること話しておきましたわー。えらく落ち込んで帰って行きはりましたけど。」


頭の血管がブチっと音を立てる。


「このっ!!!!!!!」


僕が殴りかかろうとする前に、ユラさんと、ミナさんの一撃がドンを捉えていた。


ボコボコにされたドンの意識を最後に絶ったのは、シズクさんだった。


シズクさんは、涙を流しながら、ドンに渾身の一撃を喰らわせていた。

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