第10話:浮気よ!女よ!ハッスルよ!

(※ユラ視点)


「おかしいわ・・・最近のシト!」


3人のクエストが終わり、私はミナと二人で話している。


「そう?どんなところが?」


実は私も、最近の彼の行動が少し変だと思っていた。


「だって、私のおっぱいの間に顔を埋めるように抱きしめても、リアクションが薄いんだもん!私の身体、もう飽きちゃったのかしら・・・」


人差し指を口に当てて、首を傾げるミナ。


「・・・・・・・、そっ、そう。」


私が最近気になったのは、クエストが終わるとそそくさと帰っていくこと。そして何よりも華奢な身体が、さらに痩せているように感じる。そしておそらくひどく疲れている。


「ま・・・さ・・・か、女???夜な夜な女のところに通って、ハッスルしてるんじゃ・・・!キーーーーーー!私というものがいながら許せない!」


このセクシーボインの頭は、ピンクのお花畑か・・・。


「でも、確かに最近疲れているわよね。昼間のクエストに影響がでなければいいけど。」


「そうよ!パーティの仲間としては心配だわ!そうだ!ユラ!明日、シトのあとをつけてみましょう。お昼から夕方までは一緒だし、きっと何かあるとしたらその後よ!」


「いやよ・・・!彼がプライベートで何をしようと彼の自由だもん。」


「じゃあ、私一人で行くわ。イチャついてるところに殴り込んでやるわ。」


「やめなさいよ!」


「ふぅ・・・、アナタ一人じゃ心配ね・・・わかったわよ。私も行くわよ。」


正直、興味があった。理由は単純にちょっと面白そうだから。


こうして私とミナは、明日のクエスト帰りにシトをこっそりつけることとなった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「お疲れ様でした!」


そう言って、シトは私たちに報酬を分配し、帰ろうとする。


辺りは陽も落ちて、すでに暗くなっている。


私はミナに目で合図をする。


「シト!今日は、ユラとブラックバードに行こうと思うだけど一緒しない?奢るわよ!」


シトの顔が明らかに嬉しそうな表情に変わる。


しかし数秒後、


「ごめんなさい!今日は予定が・・・。また誘ってください!」


「え、いいじゃない。たまにはご飯食べようよ。」


「すいません!今日は本当に外せない用事が・・・」


シトは私たちに手を振り走り始めた。


「怪しい・・・ブラックバードに誘われて来ないなんて・・・」


「私の胸元をみながら肉が食べれるのに!キーーー!行くわよ!」


私たちはこっそりと彼のあとをつける。


この道・・・、シトの家がある方角。家に帰るのかしら。


その後、尾行するもシトは自宅に帰ってしまう。


シトの家は古びた小さな道具屋だ。何でもシトを引き取って育てたおばあちゃんの遺産だそうだ。


「なんだ。普通に帰ったじゃない。」


いや・・・彼は嘘をついている。


シトの性格はわかりやすい。嘘や疚しい事があると、視線が泳ぐ。昔、泉で私の裸を見た時と同じ反応だ。


「少し様子を見ましょう。」


私とミナはその場で見張りを続けることにした。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


それから1時間ほど経過した。


完全に飽きたミナが、飲みに行こうとうるさく誘ってくる。


その時、


「シッ!出てきたわ!」


ミナの口を抑えてシトの様子に注意を払う。シトは眠そうな顔をしながら、大広場の方に歩き出す。


再びシトのあとをつける。


シトは途中、いつものパン屋により、パンを一つ買う。そして、大広場にある女神の噴水の近くのベンチに腰を下ろす。


いつもの痩せた野良犬が、シトに近づいていく。シトはいつも通り、パンを半分ちぎり犬にあげている。


「誰かと待ち合わせかしら?」


ミナが小声で囁く。


一体誰を・・・?その時、、、


彼の前に突然と一人の女が舞い降りる。その女と何かを話しながら、二人して歩き始める。


「やっぱり女ーー!女よ!!!」


ミナの口をまた抑えながら、私たちは二人をつけていく。


シトが女とデート?正直信じられない!


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