第8章:ガルガン山の火竜

第46話:ガルガン山の火竜

(※ガルガン山/頂上の火口)


「全くドワーフのしつこさと言ったらイヤになりますね。」


その影は、火口の中の岩陰で眠る、巨大な火竜を見下ろして独り言を呟く。


「でも、王の命令で先にこちらの領域に忍び込み、アナタを起こした甲斐がありました。」


「さあ、もうひと働きお願いします。ドワーフを絶滅させるのです。」


影が黒いオーラを放つと、巨大な火竜の目がギョロッと見開き、ギョロギョロと辺りを見渡した。


眠りを邪魔された巨大な火竜は、影に向かって大きく咆哮ほうこうする。


火口の岩場が衝撃で大きく揺れた。


その火竜は、自分の体長よりも巨大な翼を大きく羽ばたかせ、火口の入口へと浮かび上がった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


(※ガルガン山/麓のドワーフの街)


「これは・・・」


僕はその風景をみて言葉を失った。


破壊される前は、それはそれはキレイで近代的だったと思われるその街は、今はほとんどが廃墟と化している。


建物は崩れ、瓦礫の山が至る所に積み上げられている。


そして人の気配がほとんどない。


まさかドワーフ族はみんな・・・。


「ここまでとは・・・」


ローザさんの表情が厳しくなる。


「生存者がいるかもしれないわ!まずは、街の中を探しましょう。」


ユラさんが声をあげる。


その時・・・・


「ギャアアアアアアア!」


とてつもない大きな咆哮が辺りに響く。


「なっ、なに?」


ミナさんが叫ぶ。


まさか・・・!!!


これは!!!!


空を見上げると、40〜50mはあろう巨大な赤いドラゴンが、僕たちの真上を通過していった。


フレアドラゴン!!!!


フレアドラゴンが通過した後、強風が僕たちを襲う。


「あれが・・・フレアドラゴン・・・、なんて大きいんだ・・・」


僕は唖然として声を漏らす。


「あんなのどうするってのよ・・・」


ミナさんが呟く。


「ちっ、うちの旦那は一体どこにいったんだい!」


ローザさんが叫んだ。


フレアドラゴンは、大きく旋回して僕たちの方に向かってくる。


まさか、僕たちを襲うつもりなのか!!!


「来るわよ!みんな建物の影に隠れて!!!」


アマゾネスたちに向かって、ユラさんが叫んだ。


僕たちは散り散りになって、建物の影に身を潜める。


「ギャオオオオオオン!!!」


フレアドラゴンは、大きな口を開けて、辺り一面に炎のブレスを吐き散らす。


「ぐうううっ!!!なんて熱さだ!!」


僕が隠れるすぐ横の道をフレアドラゴンの炎のブレスが焼き尽くす。


再び、僕らの上空を通過し、大きく旋回する。


「また来るわ!!」


ミナさんが叫ぶ!


その時、物陰からローザさんが飛び出して、フレアドラゴンに向かって大きな斧を構える。


「かかってこい!この赤トカゲ!」


「バカッ!!!戦士一人でどうにかできるレベルじゃないわよ!!!」


ユラさんが、ローザさんの元に走り寄る。


その時・・・


ドゴーーーン!!!


大きな爆発音が起こった。


そしてフレアドラゴンが炎に包まれている。


「ギャアアアアアア!!!」


空中に浮かび、咆哮をあげるフレアドラゴン。


次々と大きな弾がフレアドラゴンに直撃し、大きな爆煙をあげる。


「これは・・・、一体!!!!」


「ギャアアアアアア!!!」


フレアドラゴンは、また大きく旋回し、再び火口の方に飛び去っていった。


「あの爆発は一体・・・・」


僕らはフレアドラゴンの飛び去る空をしばらく眺めた。

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