第98話:二つの血
(※リリス視点)
許せない!!
ギルムンドを殺された怒りが私を支配する。
ザリオン・・・、アナタだけは許せないっ!!
「シズクさん、あの巨大な目玉さんをお願いします!」
「すぐ戻る。どうか無事でいて。」
シズクさんは大樹に住まう黒い球体のモンスターに向かって走る。
そう、これが私たちの立てた作戦である。
シズクさんは私たち二人でザリオンと対峙するのを心配していたが、しばらく考え込んで了承してくれた。
「ほう・・・、一人はギガントアイを倒しに行きますか?」
目の前のザリオンが目を細めている。
「この私にお二人でどうにかなると・・・」
「まったく・・・、これだから下等種族は・・・」
やはり!!そうだ!
ザリオンは、油断している!
今なら、私とマーリでも倒せるかもしれない!!!
「マーリ、任せて!」
「はい!リリス様!!」
マーリは大きく頷き、私の後方へ下がる。
「ほうほう、これはこれは・・・・、魔道士のアナタが前方に出てどうするというのでしょう。」
「まさか・・・そこの剣士が魔道士と言うわけではないでしょうに。」
「魔道士は魔道士、アナタの相手は私が努めます!!」
ザリオンを睨む。
「まあ、頭と胴体ぐらい持ち帰れば問題ないでしょう・・・。調子に乗っている下等種族にはお仕置きです。」
ザリオンから溢れ出している漆黒のオーラが大きく揺らぐ。
そしてザリオンは右手をゆっくりと私たちに向かって構えた!
来るっ!!!!
「光の精霊よ!我を守り給え!!」
「セブンズ!シールド!!」
詠唱と共に左腕を構える。
私たちの目の前に巨大な光の防御壁が7層ほど出現する。
光の防御壁が完成した時、ザリオンの手から黒い魔力弾が複数放たれた!!
ドゴーン!!!!!!
光の防御壁に、漆黒の魔力弾が衝突し、激しい爆発を引き起こす。
その光景を見て、今度は右腕をマーリに向かってかざす。
「ライトニングソード!!!」
私の叫び声と共に、マーリの持つ剣に光りが集う。
マーリの剣に光の魔法をかけ、対魔力を向上する。
光の防御壁は、ザリオンが発する多くの魔力弾を受け、一枚、また一枚と粉々に砕け散っていく。
間に合うか!
「光の守り手よ!!」
マーリの体を光のオーラーが包んでいく。
その時、最後の一枚の防御壁は、激しい音を立てて、私の目の前に砕け散った!
ザリオンが続け様に放った複数の魔力弾が私に迫る!
ダメ!!やられるっ!!!!
衝撃に備えて、目を瞑る!
・・・
・・・
いつまでもこない衝撃を不思議に思い、そっと目を開ける。
・・・
そこには、光の剣と光のオーラを身に纏ったマーリが立ちはだかっていた。
「リリス様!!光のご加護、確かに受け取りました!」
マーリが私に向かって微笑む。
「間に合った・・・」
・・・
「ほう・・・、これはこれは何とも。かの大戦で同族を大量に惨殺した光の騎士の再来と言うわけですか。」
ザリオンが目を細めて私たちを見つめる。
・・・
「それだけだと思うか・・・」
マーリがザリオンを睨み、ゆっくりと口を開く。
・・・
「私を鈍感なおバカさんと言っていたな・・・」
・・・
マーリの体が赤く変色していく。
・・・
「その通りかもな・・・」
・・・
マーリは剣を軽く振り回しながら、ザリオンから鋭い視線を外さない。
剣を降るたびに光の残像が舞い、ヒュンヒュンと風切り音が響く。
・・・
「私に流れる血・・・、エルフの血・・・
「そして・・・」
「私のもう一つの血は・・・」
・・・
マーリの身体が真っ赤に変色し、一回り大きくなった!!!
・・・
「狂戦士!!!アマゾネスの血だーーーーー!!!!」
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