第97話:ギルムンドの正体

(※リリス視点)


「この子はですねー。戦闘能力はまったくないのですが、生物の精神を支配する能力がありまして・・・」


「エルフの皆さんを操らせてもらいました。」


ギルムンドが淡々と物静かに言葉を紡ぐ。


大樹の暗闇の中で、その球体のモンスターは相変わらず巨大な目玉をギョロギョロと動かしている。


「本当にもう、エルフの仲間たちに裏切られた時のアナタの顔と言ったら・・・、フフフフ・・・」


「アハハハハハハ!!!!」


ギルムンドは、その長髪をなびかせながら、大きく口を開いて笑う。


「お前は一体何者なんだっ!!!」


私の前に立つ、マーリが剣を構えて叫んだ。


「ククククッ!これは失礼しました。」


「あーあ、本当はエルフに同士撃ちをさせたり、ヒューマンの国を侵略させたり、色々したかったのですが・・・」


「まあ、もういいでしょう。私もいい加減飽きたところですし。」


「しかしですね・・・」


「嬢王は高貴なエルフの血筋から、対精神支配の能力が高そうですが、アナタが精神支配を受けない理由がわかりませんね。」


「まあ、見た感じですと、相当鈍感なおバカさんに見えますが。」


ギルムンドを模した何者かが、口の端を吊り上げて笑う。


「ギルムンドではないわね!アナタは何者なのですか!!」


マーリを侮辱されて、私も声を荒げる!


「ギルムンド・・・、あーー、残念ながら彼はもういません。」


「私に抵抗する様はそれはそれは愛おしく、その苦しみは見てみて、とてもとても興奮しましたよ。」


「最後のセリフが・・・リリス・・・どうか無事で・・・」


「でしたっけ?」


「アハハハハハハ!!」


ギルムンド、あんなに優しかったギルムンド・・・


私が子供の頃から、まるで父のように接してくれたギルムンド・・・


ギルムンドの死を改めて聞かされ、私の心臓の鼓動が早くなる。


「許せない・・・・」


「絶対に・・・許せない・・・」


これまで感じたことのない怒りが私を支配していく。


「はい?」


「何か言いましたか?そうだ!私の正体でしたね・・・」


「嬢王様、自ら足を運んでくれたお礼にお教えしましょう。」


・・・


「私は闇の王の忠実な家臣、八大将軍が一人、ザリオン。」


「さあ、エルフの嬢王、王がお待ちです。私と一緒にまいりましましょう。」


「なっ、何を!!!」


マーリが叫ぶ。


「あーあ、嬢王以外は皆殺しです。うざったいエルフたちも全員死んでもらいましょう。」


ギルムンドを模したザリオンと名乗る八大将軍から漆黒のオーラが漂い始める。


「さて、では少しは楽しませてくださいね。な種族たち。」


ザリオンの瞳が、不気味に赤く光った。

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