第104話:ザリオン、お前もか
(※ユラ視点)
ミナの地属性の魔法で、岩の塊に串刺しにされたザリオンを見る。
「ギギギギギギ・・・」
そこには先ほどの戦いがフラッシュバックしているかのようだった。
小さな赤いミミズのような虫が、ワサワサと集まり、やがてそれは線となり、バラバラになったザリオンの身体を引っ張っている。
真っ二つに切り裂かれた上半身と下半身は、お互い引き合うようにズルズルと地面を這いつくばる。
そして、それはあっというまにくっつき、元のザリオンの身体を構成する。
しかし、新しく構成されたザリオンの身体は、私が以前会ったギルムンドの外見を模したザリオンの姿ではない。
私とミナがさっき倒してきたバルバトスとランドと同じである。
全身はムシの色と同じ赤、その虫たちが大量に集まり、人型を作っていると言った方が早い。
髪や毛などは存在せず、顔を形成している目や口も黒く、そこに穴が空いているだけのように感じる。
しかし、黒い口の穴か伸びる長い舌は、まるでそれだけが意思を持っているように、気味悪くグネグネと動いている。
「ミナ、ザリオンも前の二体と同じタイプみたいね!」
「奴のどこかに、この虫を操るコアのような個体がいるはず!!」
「気持ち悪いよぅ・・・」
ミナは、ブルブルっと身震いして呟く。
・・・
「ギギギギギギ・・・」
身体が復元して、異様な鳴き声のような異音を立てるザリオン。
「アア・・・」
「ア・・・、あぶ・・・」
「危ないところでしたね・・・」
「ドドッ・・ド・・・、どうも血が欲しくなってしまうと、リリっ・・・、理性が飛びかけてしまう・・・」
「ナッ・・・何だか人数が増えたみたいですがいいでしょう。」
「全員ささっと殺してから、嬢王以外は私たちの食事になってもらいましょうか・・・」
カクカクと気味の悪い動きで身体を動かしていくザリオン。
「やっぱり気持ち悪いーーー!!!!」
隣でミナが眉間にシワを寄せ、悲鳴をあげる。
私たちの後ろでは、リリスがマーリに回復魔法を施している。
その前を守っているのがシズクだ。
ザリオンは、四つん這いになり、空に向かって奇声をあげた。
「ギギギギギーーーー!!」
・・・
「来るわよ!!!」
・・・
・・・
「来たれ。我が眷属たちよ。」
・・・
ザリオンは動かない。その場で何かが来るのを待っているように感じる。
ジジジジジジジジ!
どこからともなく、羽音のような音が聞こえる。
音の方に目を向けると、それは大樹の方角から聞こえていた。
暗闇から響く不気味な羽音が徐々に近づいてくる。
そして、それらは暗闇から、その姿を現した。
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