第27話:男を起こすのは彼女の役割!?

(※ユラ視点)


「それで、誰が小僧の女かのー?」


「私です!!!」

ミナが元気よくボヨンボヨンと胸を揺らしながら、一番に手を挙げる。


「私。心も体もがっつり手ほどき。」

シズクがビシッと手を挙げる。


・・・


・・・


全員の視線が私に集まる。


「私は彼の・・・・・」


「彼の・・・・」


「もう!!!なんで女かどうかなんて関係あるんですかー?」


私は照れ隠しに反論した。


「いや、やっぱり添い寝でもして刺激でも与えんと、あの小僧は起きんかと思ってのー。男を起こすのも彼女の役割じゃろうと思うておる。」


「ほれっ!お前さん!このいい尻でさっさと小僧を起こしたらどうじゃ!」


ピシ!


ムア爺が私のお尻を叩く。


「きゃあっ!!!!」


ビシッ!!!!


ムア爺にお尻を叩かれ、反射的に脳天チョップを喰らわしてしまう!


ムア爺は、その場にバタッと倒れた。


「ちょっとユラ、何しているのよ!こんなおじいちゃんに!」


「だって、いきなりお尻を叩くんだもん・・・」


「そうじゃ!そうじゃ!」


いつの間にかムア爺はミナの後ろに素早く移動して、後ろから両胸を鷲掴みにする。


「きゃっ!!!!」


バチーン!!!!!


ミナのビンタを頰に受けるムア爺。


「イテテテテ!!」


この爺さん、どうやら相当のエロジジイのようだ。


「やっと元気になったお前さんたちに、エッチな事ができると思うとったのに!今の若いもんは冷たいのぉーーー!」


「まさか!おじじ、私たちが寝てる時に変な事してないでしょうね?」


ミナがムア爺に詰めよる。


「するかいっ!!腐ってもワシは元気で明るいスケべじゃ!!!そこを人生の誇りに生きてきたんじゃ!」


よくわからない事を胸を張って主張するムア爺。


今度はシズクに近づこうとして、顔面に蹴りを喰らう。


ムア爺はその場に崩れ落ちるように顔を伏せた。


「はい!!ごめんなさい・・!もうしないぞい!」


ムア爺は、顔を抑えながら反省している。


「まあ、ものは試しじゃ!今晩、誰かが添い寝でもしてやるんじゃのぉ。お主らみたいな美人さんに添い寝されたら、ワシなら死んでも生き返るじゃろうて!カカカカッ!」


ムア爺は笑いながら部屋を出て行った。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「これは私のお仕事です!!」


ミナが胸を張って、シズクに詰め寄る。


「弟子を助けるのは師の役割。」


シズクが、同じく胸を張って言い返す。


二人は胸を押し付け合いながら、言い合いをしている。


「ジャンケンで順番を決めたらいいじゃない?」


私は、テーブルに肘をついて、そのやり取りを見つめている。


「いいわね!じゃあ、今晩!今晩は誰か決めましょう!1回勝負よっ!」


ミナが拳を握りしめながら、シズクを挑発する。


「いい。私は負けない。」


シズクが、よくわからない手の動きでジャンケンの練習をしている。


「いくわよ!!!せーーーの!じゃんけん!!!ぽいっ!!!!」


「えええええーーーーー!!!」


ミナが吠える。


シズクは頭を抱えている。


「なんであんたが参加しているのよ!!!」


ミナが私に詰め寄る。


「ちょっと楽しそうだったから参加しちゃった!えへっ!」


そうなのだ・・・。


私もジャンケンに参加したのだ。


初めは参加する気なんてなかった。


でも、シトが二人に添い寝されているところを想像したら、身体が反射的に動いていしまっていた・・・。


「まあ、今晩は社長と一番付き合いの長い、私がなんとかしてみるわ。」


ミナとシズクはジタンダを踏みながらも、明日の順番を決めようとしている。


私は、早くなった鼓動と赤く火照った顔を2人に気づかれないように、手で顔を仰いだ。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「小僧が羨ましいぞい!私も添い寝して欲しいぞい!」


ぎゃーぎゃー騒ぐムア爺を、脳天チョップで黙らせる。


「悔しいけど、今晩はユラに任せるわ。いい夢を。」


諦めたミナ。さっきまではふくれていたが諦めたようだ。


「明日は私の番。」


シズクが天井からぶら下がりながら話してくる。


二人に見送られて、私はシトの部屋に入った。


バタン!


ドアを閉めて、ベッドの近くの椅子に腰掛ける。


・・・


・・・


寝てる彼の心臓に耳をあてる。


トックン・・・トックン・・・


あの時と同じように鼓動が聞こえる。


「約束だもんね。モチモチ・・・。」


「意識があったらよかったのに・・・残念でした。」


私は寝ているシトに話しかけて、そっとベッドの中に潜り込んだ。


ベッドの中の暖かさから、シトの体温を感じる。


・・・


・・・


私はシトの横で仰向けのまま動けないでいる。


「よし、シトは寝ている。男を起こすのも女の仕事。」


私は自分に暗示をかけるように独り言を呟く。


心臓の鼓動がドックン、ドックンと大きくなる。


着ていたタンクトップをゴソゴソと脱ぎ、床にそっと落とした。


そして、今度は履いているショートパンツに手をかけ、ゆっくりと脱ぎ、床に落とす。


私は全ての服を抜いで裸になった。


心臓の鼓動が早くなる。


「えーーい!」


シトの方に向き合い、シトが寝ている首の下に腕を通す。彼の頭をそっと持ち上げて、私の裸の胸の中に包み込む。


シトが起きていたら、今にも飛び出してしまいそうな私の胸の鼓動が聞こえただろう。


彼の脚に私の脚を絡め、彼の全身を私の身体で包み込む。


シトの寝息が私の胸の先にかかる。


「あ・・・」


恥ずかしい・・・。


シトが起きていなくて、本当によかった。


「シト・・・。約束のモチモチよ。早く起きないと見れないよ・・・。」


私は目をつぶり、寝ている彼に優しく話しかけた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る