第4話 「人生はコレで決まる!」のウソ
絶体絶命の真実か、全くバカバカしいことが、好きだ。真摯な人間が人生に真面目に向かった言説や、他人から見たら価値がないことだけどとにかくそれが好きで好きでたまらないという人の書く物が好きだ。さかしらなものは嫌い。
特に、「人生はコレで決まる!」的な、なにやら人生論めいたものは、ことごとくつまらないと感じる。 「学歴で」決まる、「運で」決まる、「親で」決まる、「見た目」で決まる、「何を捨てるか」で決まる、うんたらかんたら……。ああいうものは、端的に言って、全てウソである。あれらがウソであることは、ほんのちょっとでも頭を使えば誰にでも分かる自明なことだ。
考えてみてください。そうやって、「○○で決まる」と言っている人が生きているのは、その人の人生である。その人は、その人の人生しか生きたことはないのであって、別の人の人生を生きたことはない。だとしたら、その人が言えるのはその人自身の人生についてであって、他の人の人生には言及できないはずだろう。その人の人生がそれで決まったとしても、他の人の人生がそれで決まるかどうか言えない道理である。
あれら人生論を読む人は、こんな簡単なことがどうして分からないのだろうか。分からないのではなくて、分かりたくないのだろう。自分の人生を誰かに導いてもらいたい、自分の人生を断定してもらいたい、という気持ちから、そのような「人生は○○で決まる!」的なものを読んでいるわけだから。
他人の人生論を信じるということは、自分の人生を手放すということである。自分の人生を手放して、いったい何を生きるというのだろうか。そういう人はつまり、生きながらすでにして死んでいるのである。
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