第30話 他人の無知や思い込みを笑いたくなった時に
あなたの周囲に、物を知らない人、あるいは、間違ったことを正しいと思い込んじゃっている人、いるだろうか。そういう人のことを笑いたくなったことはないだろうか。笑いたくなったとき、ちょこっと立ち止まって考えてみた方がいい。なんとなれば、あなた自身も何かを知らなかったり、思い込んでいたりする可能性があるからである。人の振り見て我が振り直せ。
しかし、直そうとしても、この「無知」や「思い込み」は、定義によって、知ることができないものである。あることについて自分が無知だと知っていたら、それはもう無知とは言えないし、あることについて自分がそう思い込んでいるだけかもしれないと反省していたら、それはもう思い込んでいるとは言えない。
知ることができなければ、直しようがない。他人の無知や思い込みを笑うあなたもまた、直しようがない無知と思い込みを自身の中に秘めている。それだから謙虚になりましょうと言えば説教だが、説教は徳高い人にやらせておけばいい。わたしが言いたいのは、「他人の無知を笑う」というこの行為の構造の面白さである。
他人の無知を笑っているその人の中にも無知があって、それをその人自身は知ることができないということ。この構造を笑えるようになると、他人の無知や思い込みそれ自体について笑うことは少なくなるだろう。
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