第3話 時を惜しむということ

時は計量可能な単位ではない。今から過ごす1時間を、別の1時間と取り替えることはできない。今から過ごす1時間というのは、1時間後には消え去って、もう二度と帰って来ないからである。人生で一度しか訪れない1時間。そうして、もしかしたら、それは、あなたの人生の最後の1時間かもしれない。毎時間、毎日、そう考えることができれば、自分にとって本当に大事なことのために時間を使おうと思うのではないだろうか。そうして、いつの1時間が最後の1時間になってもいいように、日々(時々?)考えて暮らすようになるのではないか。


世の中の人は、「どうすればお金が儲けられるか」とか、「どうすれば異性にモテるか」とか、まあ、あるいは、もう少し高尚な人であっても、「自分なりの幸せとは何か」とか、そんなことに一生懸命になっているようだけれど、もしも、あと一日しか生きられないとしたら、それでもなお、それらのことに血道を上げられるのだろうか? あと一日しか無いのに、「自分なりの幸せとは何か」もないもんだろう。「いや、今日死ぬわけないじゃん」とほとんどの人は言うだろうが、今日死ぬ可能性はあるし、仮に死ななくても、今日というこの一日は二度と帰って来ないのである。あなたが死ななくても、今日は死ぬ。


時を惜しまなくてはならない。過ぎ去って二度と帰らない時を。今から1時間後、過ぎ去った1時間を再び手に入れることは、あなたの人生でもう無いのである。唯一の1時間。その唯一の1時間に、あなたは、何をしますか?

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