第64話 中高年は精神のエイジングに励め

「人生に意味が無い」という言い方をちょこちょこと耳にする。これが失恋した若者あたりが自暴自棄になって叫んでいると言うのなら可愛いものだが、それなりの年に至った中高年が言っているとなると、少し問題である。


何が問題か。


人生に意味が無いと言いながら、そう言っている本人は現に生きているわけである。そんなことは当たり前だろうと言うのであれば、意味が無い人生を生きる意味というものを今すぐ示してもらいたい。これが示せないのであれば、人生に意味が無いなどと言ったって、その主張に意味を与えることなどできないだろう。一方で、意味が無い人生の意味を示せたとしたら、人生に意味があることになる。これは、言葉の遊びだろうか。もしも、言葉の遊びだというのであれば、「人生に意味が無い」という言葉自体が遊びである可能性を考慮に入れなくてはならなくなる。


このあたりのことを考えずに主張される、「人生に意味が無い」発言は、それを発言している人の無知を明らかに示す。考えない中高年。


考えない中高年の何が問題なのかと言えば、言うまでもない、美しさに欠けるという点である。醜い。若者は若さだけで美しいが、若さを失った中高年には他の美点が必要である。加齢のせいで肉体を溌剌とさせることには限界があるのだから、その代わりに美しくするとしたら精神をそうする他ない。アンチエイジングなどにかまけている場合ではないのだ。むしろ、精神をエイジング(熟成)せよ。考えよ、中高年! ……もちろん、美しくなくてもよいと言うのであれば話は別であるが。

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