第127話 交わりはただ始まってただ終わる
別れについて以前書いた(気がする)。もう一度同じようなことを書く(ことになるかもしれない)けれど、いったん交わりを結んでも、もしもなんか違うなと思ったら、交わりを断って構わない。そうして、新しい交わりを探しに行く。それは不実なナンパヤローの振る舞いのような気がするかもしれないが、そうではなく、ただ、その交わりが短命だっただけのことである。「あの人を見誤っていた、あんな人と付き合わなければよかった!」とか、「わたしが我慢すればもっと付き合いは続いていたのではないか……」などと後悔する必要はない。ただ終わった。それだけのことだ。人が死ぬのは生まれたからである。交わりが終わるのは結ばれたからだ。それ以上のことではない。
もちろん、簡単にはそういかないこともある。たとえば、親子や兄弟姉妹の縁というのは、なかなか切れるものではない。なかなかというか、生涯切れないものかもしれない。それで、わたしも現在進行形で苦労させられている。それはともかく、いったん結ばれたものを断つというのはなかなか簡単にはいかないものだが、結ばれたものを断っていいんだという意識は持っておくといいだろう。一度結んだからといって、それを後生大事に保とうとする必要は無い。始まったものは必ず終わるのだから。
裏返し、始まった交わりをできるだけ保たせようとするのであれば、それなりの努力が必要である。始まった交わりは、始まったその瞬間から終わりに向かうわけであり、永遠に続くわけではない。終わりに向かっているということを意識すること。これが大事。彼もしくは彼女との付き合いは今まさに時々刻々と終焉に向かっているんだなと意識し、もしもそれを少しでも長く続けたいのであれば、常にメンテナンスを怠らないことである。
それでも、もうどうしてもこれ以上は無理ということになったら、それは、相手のせいでもなければ、あなたのせいでもなく、交わりの寿命だと思って、その交わりの終わりをそっと看取ってやるべきだろう。あるいは、それは悲しいことかもしれないが、やむをえないことでもある。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます