第128話 なぜ書くか
毎日毎日愚にもつかないことを書いているけれど、お前はなぜ書くのかと問われれば、定まったしっかりとした答えを返すことはできないかもしれない。公式の答えはある。わたしの言葉を欲する一人のためにというのがそれだが、どうもそれは正確ではないような気がする。では、正確にはどういうことか。正確には、書く以外にすることが無いからである。登山家になぜ登るのかと問えば、「そこに山があるからだ」というのは実はかっこつけた答えであり、「山に登ること以外にすることはないからだ」というのが正確なところではないか。書くことが、他人のためであったり、思考整理のためであったり、そういう面は確かにあって、これは全く間違いではない。しかし、もっと根源的なところに思いを致してみれば、もうそれ以外に特にすべきこともないというところに落ち着くのである。ここにいたって、書くということが、書くことを生きるということになる。兼好法師という人は、つれづれなるままに文章を書いたが、つれづれだったから文章を書いたわけではない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます