第99話 酒に対して当に歌うべし
昨日は飲み過ぎた……という話を以前も書いたかもしれないが、飲むときは大体飲み過ぎているので、今後も書くことになるだろう。飲み過ぎたと言ってはいるけれど、世間一般の基準からしてみると、さほど飲んではいないと思う。酒は好きだが、酒に弱い。昨日飲んだのも、ビール350ml缶1本と、日本酒1合、フローズンカクテル2杯といったところである。……世間一般の基準からしても、ちょっと多いか。
いくら飲んでも酔わない人がいる。それ自体はただの体質であるので、どうもこうもないのだけれど、たまに、それを自慢げに言う人がいる。「おれ(わたし)、いくら飲んでも酔わないんだ、すごいだろ、へへっ!」みたいな。それを聞くと、どうせ酔わないなら水でも飲んでろ、と言ってやりたくなる。また、そういう人が、本当に美味しいお酒を、ガブガブやるわけですよ。そもそもガブガブ飲むようなタイプのお酒ならいいですよ、ビールとか。そうじゃなくて、日本酒の大吟醸とかを、酔わないからってんで、でっかいグラスなんかに注いで、グビグビ飲むわけです。……いいでしょう。飲み方は人それぞれだ。まあ、しかし、そんな人と一緒に飲む気はしませんね。隣で見てるだけで悪酔いします。
そもそも、人とあんまり飲まない。せっかくお酒を飲んでいるのに、仕事の話や、世間の話なんかされたら、たまったもんじゃない。酒が泣く。なので、飲み会があるなんて言われても、なんやかや理由をつけて断ります。だって、その飲み会費用で、本当に美味しいお酒が一升(1,800ml)とか買えるわけですよ。アホらしくて行く気にならない。人と飲むから酒が美味いんじゃないかという意見もあるかもしれないが、本当に美味い酒は、一人で飲んでも美味い。その美味さを分かち合いたいと思う人と飲めたらさらに美味いことはわたしも認めますが、わたしが参加を要請される飲み会では、それは叶わない。
三国志の英雄、曹操が、この人は政治家でありながら、詩人でもあったのだけれど、次のように歌っている。
酒に対して当に歌うべし
人生いくばくぞ
たとえば朝露のごとし
去りゆく日は、はなはだ多し
「酒に向かって歌おうじゃないか。人生はどのくらい続くというのか。たとえるなら、朝露が昼にはもう消えてしまうようなもの。過ぎ去ってゆく日の何と多いことか」
曹操に倣って、飲むなら人生について考えながら飲みたい。人生って言っても、生活上のあれやこれやじゃない。そういう内容のことじゃなくて、生きて死ぬというこの形式についてのことである。そんなことを考えながら、まあ、酔っ払ってるんで考えるというよりは思いを馳せるくらいなのだけれど、飲んでいると、ついつい酒量を過ごしてしまうということになるわけです。
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