第90話 察してちゃんを脱してちゃんと要求せよ

近くに、「察してちゃん(=自分の気持ちをはっきりと言わず、察してほしいと思っている人)」がいて、今日もまた察してオーラを出しているので、察してちゃんについて書いてみる。しかし、書くことは多くない。一言で足りる。


やめろ。うっとうしいから。


あ、二言になった。一言で足りなかったついでにもうちょっと書けば、察してちゃんが可愛いのは、せいぜいが小学校の低学年まで、それより大きくなった人は、ちゃんと何をしてほしいか、自己主張しなさい。何のために言葉があるのか。犬だってエサが欲しければ飼い主にすり寄る。犬よりマシだというなら、しっかりと言葉にしろ。ただし、愚痴は言うなというのは、以前書いた。愚痴じゃなければ、何を言えばいいのか。助けて! だ。助けを要求しろ。ビートルズみたいに何度もヘルプを叫べ。そうすれば、誰かは助けてくれる。状況は好転する。多分。


要求が通らなかった場合は、そこまでのこと。デッドエンド。でも、人間いつかは死ぬ。もっと過酷な状況で死ななければならなかった人のことを思い浮かべてみればいい。敵艦に特攻しなければいけなかった兵士のことを想像しなさい。少しは気が楽になっただろう? ならない? そんな兵士のことなんか関係ない? だとしたら、あなたの生き死にも、あなた以外の人にとっては関係がなくなる理屈だ。


「そうだ、わたしは一人で生きているんだ」って主張するあなたの、衣食住は、誰が用意してくれたものだ? いくら自分の金で買ったんだって言ったって、金で物を買えるシステムはあなたが作り出したものじゃない。そういう意味で、生まれたときから、人は、社会に、つまりは他人に依存しているわけだから、今さら、さらに多少依存したって大したことはない。だから、安心して、要求しろ。


……とはいえ、近くにいるその察してちゃんは、やっぱり今日こっちから構ってあげるしかないか。お酒でも飲みながら。せめては、飲みながらじゃないとやってられない。まあ、しょうがない。これも浮き世の付き合い。「察してちゃんをやるなら一人で死ね」と言ってやりたいけれど、なかなか言え……酔っ払ったら言えるかもしれないな。酔ったついでに言ってやるかな。ついでに言うくらいでちょうどいい話ではある。

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