第1話 始まりの日




 ――――――数ヶ月前


 

 ◇◇◇◇◇


 

 ここはフィフシスという小さな村

 そこには村を囲むように大きな森が広がり、それを更に大きな白い土壁が囲んでいた

 そんな村で俺は優しい母さんと父さんと仲良く平和に暮らしていた


 そしていつもの様に狩りに出掛けた俺は森の最奥で初めて壁に触れた


 そう

 初めてだった


 村には唯一絶対の掟があった

 それは――


 『絶対に森の最奥にある壁に近付いてはならない』


 ――というもの

 今日はたまたま見つけた野うさぎを追いかけていたらこんな所まで来てしまっていたのだ


  「ほえーーー。近くで見るとやっぱりでかいなぁーー」


 その白い土壁は頂上が見えないくらい空まで続いていた

 横には果てがなくフィフシス村と森の全てを囲むように聳え立っていた

 

 「村の掟があるのってこの壁があるからか?でもでかい!ってだけで特に危険な感じもしないし、ていうか何の為にこんなものがあるんだ?」


 そして俺は壁をポンポンと叩いてみたり蹴飛ばしてみたりした

 すると――


 ボロッ!ゴロゴロ!ガラガラン!


 見た目は大きいが所詮はただの土壁

 かなり脆いのか叩いたり蹴ったりした部分は簡単に崩れ人が余裕で入れるくらいの穴が空いた

 

 「え、この壁…壊せるの!?」


 その事実に俺は心が踊り気が付けば穴の中へと入っていっていた

 

  「こんなでかい壁に穴が空いたらそら普通入るでしょー!さてさてこの中にはどんなお宝があるのかなー?もしかしたら大量の魔石とか見付けちゃったりして?」


 魔石は村にもあまり数は無く、魔石の中の魔力を使い切れば壊れてしまうので節約しながら使っている

 だから人々にとって魔石はかなり希少なのだ

 

 しかし俺の踊った心はたちまち大人しくなる

 

 「なんだ……中はただの土かぁ」

 

 それはそうだ

 所詮は土壁の中

 当たり前に土だらけである


「……つまんなっ!」

 

 俺はそう言葉を吐き捨てると魔石を探すのを諦めて穴の出口へと向かった


 すると――――


 

 グラグラグラグラ!!

 ゴゴゴゴゴ!!ドガガガガガーン!!



 ――――大きな物音と立ち上がれない程の地震が起こり俺はその場にしがみつくしかなかった

 

 「う、うわぁー!!な、なんだこれ!や、やべぇ、こんなとこで、俺、死ぬ!?」

 

 俺が慌てていると穴の中の土が崩れ始めた

 そして俺の頭に少し大きめの石が落ちてきて俺は気絶してしまった




 ――――――――――


 暫くすると俺の意識は戻り始めていた

 


 どれくらいの時間が経った?

 でもまだ体は動かないし目も開かない

 とりあえず頭の中を整理してみる


 

 何が起きた?

 確か大きな地震があって

 頭に石が落ちてきて気絶した………のか?

 どれくらい気絶していた?

 その間に何か変な夢を見ていたような……

 いや、それより早く家に帰らないと

 家族が心配だ



 するとようやく体が動き目を開けるようになった

 どうやら穴の中の崩落は奇跡的に足下で止まっているようだ


 「助かった……これで抜けられる。あぁ、何かすごい疲れた。今日は早く帰ろう」


 

 

 そうしてリオンは穴から抜けようと足にかかった土を払い除け穴の出口へ向かった

 

 だが、穴の出口にさしかかり外が見えるとそこにはリオンがこれまでの人生で見たことも聞いたこともないであろうが闊歩する異様な世界だった――――――


 

 「どこ…だよ……?ここ…」




 

 


☆☆☆☆☆★★★★★


ここまで読んで頂きありがとうございます


面白かった!続きが気になる!と思って下さった方は

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気軽に感想もお聞かせください


毎日お昼の12時10分に一話ずつ更新していきますので

是非また読みに来て頂けると嬉しいです


青 王(あおきんぐ)

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