第8話 初戦闘2




 俺にとってこれが初めての戦闘だと言うとシルキーは驚いていた

 そんなシルキーを他所に俺は必死に考えを巡らせていた

 

 

 どうやって戦う?

 刀とか武器になりそうな物は何も無い

 役人達にやったみたいに殴る、蹴るか?

 いや、人斬りは刀を持ってるしそんなんで勝てるわけない

 

 じゃあやっぱりスキルで戦うしかないよなー

 あれ気色悪いんだよな……

 ていうかシェルミにスキルの能力とかは聞いたけど、使い方聞いてなかった……!

 役人に絡まれた時は咄嗟にスキルが使えて助かったけど、何か特別な使い方とかあるのか?

 

 

 そんなこんなを考えていると、人斬りは走り出し俺に斬りかかってきた


  「うぉっ!!……あっぶねーな!今考えてるんだからちょっと待って!!」

 

 俺は何とかそれを避けそう叫ぶとシルキーの元へと駆け寄った

 

  「なぁ、シルキー!スキルってどうやって使うんだ!?」

 

 そう聞くとあんなにいつも明るいシルキーの顔が見たこともない様な呆れ返った顔に変わった

 

  「リオっち、そりゃないよ。はぁ……。スキルは身体の中にある物だからその能力を使うイメージをすれば身体が反応して使えるはずだよ」

 

  「あ、ありがとう、シルキー」


 ため息混じりに教えてくれたシルキーに礼を言い俺はスキルについて考える

 

 能力をイメージする……か

 俺のスキルは【悪食】で使える能力は……左手の口で何でも捕食するだったか?


 

 俺の左手が獣のような口になるイメージ…

 イメージ……イメージ……


 

 俺は目を瞑りひたすらにイメージをふくらませていった

 すると左手が段々と熱くなっていくのを感じた

 そして俺はゆっくりと目を開けた


  「……よし!イメージ通りあの時と同じ様に左手が化け物の口に変わってる!これで俺も戦える!」


 そう確信した俺は意気揚々とシルキーの元を離れ人斬りに向かって走り出した

 そして俺はそのままの勢いで口に変えた左手を突き出しながら人斬りに飛びかかった


 すると人斬りは刀を構え、飛びかかっている俺に刀を突き出してきた

 そして――――


 

 バキンッ!



  「へへっ。俺の『コレ』刀も噛み砕けるんだわ」

 

  「……………………っ!?」


 ――――俺はニヤリと笑いながらそう言い人斬りの刀の半分を噛み砕いた

 そして怯んでいた人斬りをそのまま蹴飛ばそうと俺は足を蹴り上げた

 すると人斬りは後ろへ跳びそれをかわした

 


  「ね、ねぇ!リオっち!今の何!?左手が口みたいになって刀食べちゃったけど!?それがリオっちのスキルなわけ!?」

 

  「あぁ、そうだ!やれる事は何でも食うだけだけど、これなら俺も少しは戦えるだろ?」

 

  「みたいだね!よーし、そうと決まれば私もやっちゃうよー!」

 

 

 そう言いシルキーは意気揚々と素早い動きで人斬りへ向かっていく

 走りながら太腿に隠していた両手ナイフを抜き人きりの背後へ回り込む

 

  「よし!いいぞシルキー!」

 

 そう俺が声をかけると背後に回り飛び上がり、今にも人斬りの首を斬りかかりそうになっていたシルキーの動きが止まり、真剣な表情からいつもの表情に戻った

 そして俺の方を向き――――

 

  「へ?なんか言ったー?」

 

 ――――と言った

 

  「は……?」

 

 俺はシルキーが何故こっちを見たのか全く理解出来なかった

 そしてその一瞬で人斬りは背後のシルキーへと反応し刀の柄の部分でシルキーの腹を殴り、民家の外壁へと吹っ飛ばした

 シルキーはすぐには動けない様子だった


 

 ここは俺がやるしかない

 この左手の口でどこまでやれるか

 食うしかできないけど、さっきと同じように刀の残ってる部分を全部食えれば、人斬りは刀を失い無力化できるはず

 俺がアイツに勝つにはそれしかない

 そう心に決め俺は人斬りへと向かって行った


 

  「うぉおおおお!!!」


 俺は人斬りが刀を振り下ろすようにあえて無防備に真っ直ぐ突っ込んだ

 

 しかし、人斬りは俺の策に気付いたのか刀を左手に持ち替え、右腕を俺の左手の口にわざと噛ませ、左手でその短くなった刀を振り下ろし、俺の体を斬りつけた


 

 ズバーーンッ

 

 

 俺は左手の口で人斬りの腕に噛み付いていたから上手く身体を動かす事が出来ず、右肩から腹にかけての大部分を斬られた

 

  「ぐあああああ!!!!」

 

 あまりの痛さに俺はその場で声を上げ前に倒れ込んだ


 

 痛い!痛い!痛い!痛い!

 なんだこれ…

 本当に斬られるとこんなに痛いのか?

 やばい、これ死ぬやつだ……

 スキルを手に入れて調子に乗った

 戦い方もろくに知らないのにこんな奴に勝てるなんて自惚れていた

 

 あーー痛い死ぬ

 母さん……頭撫でてくれよ

 親父……もう文句言わないから狩りに行こうよ

 グレン……せっかく友達になれたのに

 ルドルフ……優しくしてくれたな

 シルキー……最後までバカなヤツだったな


 

  「あーーーこのまま死にたくねぇよーー!!」


 

 俺は無様にも大声で最後の言葉を発していた

 

 そして人斬りは倒れ込んだ俺の頭目掛けて刀を振り下ろす

 するとその時――――


  「勝手に死んでんじゃねぇよ!!馬鹿野郎が!!」

 

 ――――と叫びながらグレンが人斬りの顔面に殴り掛かる

 人斬りは後ろへ宙返りしそれを避けた

 

 バンッ

 

 しかしその後ろからルドルフが人斬りに銃を撃った

 ルドルフが撃った銃弾は人斬りの右脚に見事命中した

 人斬りは右脚を引き摺りながら後退していく

 二人はすぐ俺の元へ駆け寄り、グレンは俺を抱えた

 

  「おい!リオン!死んでんじゃねぇぞ!しっかりしろ!」


 

 グレンの声だ

 よく聞こえてるよ

 でも俺より先にやる事があるだろ

 

 

  「グ……レン。はや……く、人斬りを……捕縛し……ないと」

 

  「んなもん後でいい!お前の手当が先だ!」

 

  「は……やく、逃げちゃ……うよ」

 

 そう俺が呟くとグレンは人斬りに向け叫んだ

 

  「おい!よくも俺の仲間をいたぶってくれたな!次会った時がお前の最後だ!覚えてやがれ!このクソ外道が!!」


 

 そしてそのまま人斬りは闇夜の中へと消えていった

 グレンは俺を抱え、ルドルフはシルキーをおぶりオアシスへと戻った――――




☆☆☆☆☆★★★★★


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青 王(あおきんぐ)


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