第7話 初戦闘1



 

 ――――――そして深夜

 

 俺達は人斬りを捕縛する為、サクラ町を歩き回り捜索していた


 しかし一向に人斬りが現れる気配がないまま時間だけが過ぎていった

 そこで痺れを切らしたシルキーが口を開いた

 

  「ねーグレンー。私もう疲れたよー」

 

  「これも依頼の内だ。人斬りがいつ現れるかわからねぇ。お前も集中力を切らすなよ」

 

  「……はぁーい」


 シルキーは自分が言った不満をあっさりとグレンにいなされ、ふてくされながら空返事をした

 

  「でも兄さん。このまま4人で固まって歩いていても埒が明かないよ」

 

  「んーまぁ確かにそうだな。……なら二手に分かれるか」

 

 そうしてグレンの提案で俺とシルキー組、グレンとルドルフ組に分かれて町を捜索することとなった



 ――――――――――

 

 

 二手に分かれ暫く、時刻はは午前1時を回った頃

 グレンとルドルフ組は

 

  「兄さん、あの二人大丈夫かな?」

 

  「大丈夫だろ。リオンは昼間の役人とのいざこざを見ただけだが、身体能力は高えみてぇだ。それにシルキーが一緒なんだ。アイツはバカだけどよ、ドジさえしなけりゃ強え。それはルドルフ、お前もよく知ってんだろ?」

 

  「確かにそうだね。シルキー、ドジしてなきゃいいけど……」

 

  「いや、シルキーだぞ?ドジするだろ」

 

  「………………するね」

 

  ((本当に大丈夫か……?))



 

 ――――――――――


 

 一方その頃リオンとシルキー組

 

  「なーんかデートみたいだね、リオっち!」

 

  「デートじゃなくて依頼だろ?頼むから集中しようよ。俺はまだ死ぬわけにはいかないんだ」

 

  「カッコいいなぁ!俺はまだ死ぬわけにはいかないんだ!くぅーーー!」

 

 シルキーは茶化すように俺の真似をした

 

  「なぁシルキーやる気ある?」

 

  「もちろんあるよー!もし今人斬りが襲ってきたら私がリオっちを守ってあげるからねっ!」

 

 シルキーはどこまでが本気でどこまでが冗談なのかさっぱりわからない

 グレン達ならわかるんだろうか

 

  「はぁ。わかったよ。じゃあ頼むね」

 

  「うん!任せといてー!」

 

 などと話していると――――

 


 ザザッ


 

 ――――――突然俺達の目の前に、鬼の面で顔を隠し腰に刀を携えた武士が現れた



  「……っ!人斬りか!?」

 

  「ややっ!現れたな!?このシルキー様が成敗してくれる!」

 

  「…………シルキーー?」

 

  「へへっ。ごめんごめん。じゃあ依頼達成目指して頑張ろー!」

 

 軽い冗談を飛ばしつつもシルキーの表情はどんどん真剣なものに変わっていく

 それに応じるかの如く、人斬りは刀を抜き構え、こちらとの間合いをジリジリと詰めてくる

 そこで俺は重要な事に気が付いた



 

  「俺、誰かと戦ったりした事なかった……!!!」

 

  「えーーーー!!??」

 

 シルキーは驚き、目が飛び出すのではと思う程目を丸くして俺を見た


 正確に言えばヨスガの里に来て役人達とのいざこざがあったりもしたが、あれは自分を守る為に行動しただけで戦闘と言えるようなものではなかった

 つまりこれが俺にとっての本当の初戦闘だった


 

 そしてこの先、俺が幾度となく経験していく戦闘の、記念すべき初戦が幕を開ける――――



☆☆☆☆☆★★★★★


ここまで読んで頂きありがとうございます


面白かった!続きが気になる!と思って下さった方は

フォローと★★★で評価をいただけると筆者のモチベーションがぐぐーんと上がります


どうか皆さまの評価を教えてください

気軽に感想もお聞かせください


毎日お昼の12時10分に一話ずつ更新していきますので

是非また読みに来て頂けると嬉しいです


青 王(あおきんぐ)




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る