レネゲード(反逆者)〜【悪食】スキルで理不尽も絶望も全て喰らい尽くせ〜
青 王 (あおきんぐ)
第0話 プロローグ
◇◇◇◇◇
ここはフィフシスという小さな村
村を囲むように森が広がり、キノコや動物が生息しており住民達はそれらを狩るか野菜を育て収穫する自給自足をし、貧しいながらも助け合い平和に暮らしていた
また人々は魔力がこもった石、魔石を使い簡単な魔法を扱い生活に役立てていた
「おーい、リオン!そろそろ狩りに行く時間だぞー!」
「うーん……今行くよー」
無駄にでかい親父の声で起こされ俺、リオンの退屈な一日が始まる
俺は渋々準備を済ませ寝室を出た
「なぁリオン、そろそろ1人で起きれるようにならないとだめだぞ」
「うるさいなー、今日もちゃんと起きたんだからいいじゃんかよ」
「まったくお前という奴は…」
やれやれといった様子で呆れ返る親父は、貧しく食べる物もろくに無い割に声だけでなく、体も無駄にでかい
だから俺はこの人に逆ったことはない
まぁ口ごたえくらいはするけどね
でもそんな俺にも心安らぐ時があるわけで
「おはようリオンちゃん。今日もちゃんと起きられて偉いわぁ」
そう言い俺の頭を撫でる綺麗で優しいこの人が俺の母さんである
首には俺が昔プレゼントした手作りのネックレスを付けていて俺の事を溺愛してくれている
容姿は整っていて誰にでも優しく母さんは村中の男連中の憧れだったそう
俺は無駄親父とは違い、綺麗で優しい母さんが大好きだ
16歳の息子の頭を撫でるのはそろそろやめて欲しいのだけれど
「リオンちゃんはお父さんに似てもっと逞しい体になるかと思っていたけれど、私に似ちゃったのかしらね?もっと食べて大きくならなくちゃね」
「そうだぞリオン!男は強く逞しくないといけない!俺のようにな!ガハハハ」
母さんはこの声も体も無駄にでかい親父のどこがいいのだろう
幸い俺の見た目は母さん譲りのようで自分で言うのも何だが綺麗な顔立ちだと思う
「よーし、リオン!そろそろ行くか!」
「わかったよ親父」
「……父さん!だ」
「……わかったよ父さん」
ため息まじりに親父を父さんと呼ぶ
何故かは知らないけど親父と呼ばれるのが嫌らしい
「気をつけてね、リオンちゃん。わかってるとは思うけど絶対森の奥へ行っては駄目よ?」
「わかってるよ母さん。いってきます」
母さんは小さい頃から俺が外に出る時は毎回これを言う
森の奥は危険だから誰も近付いてはいけないという村の掟があり誰も行ったことはないという
(一体森の奥には何があるんだ?でかくて凶暴な肉食動物でもいるのか?
そんなでかい動物なら食えばさぞ腹いっぱいになれるだろうな)
俺はそんな事を考えながら親父と森へ向かう
いつもの狩場へ到着すると早速獲物である野うさぎを探す事に――
ガサガサ
――早速小さな野うさぎが木の影から顔を出した
「何だー?その目付きは?俺とやろうって言うのか?」
俺はそう言ったが野うさぎの目付きは至って普通のものだった
そして俺はゆっくりと野うさぎに近付き、慣れた手付きでナイフを使い野うさぎを狩る
「よっしゃあ!父さん今の見たか?上手く狩れただろう!?」
「あぁ、よくやったリオン!さすが俺の息子だ!ガハハハ」
嬉しそうに笑う親父を尻目に俺は更なる獲物を求めて狩りを続ける
「おい!リオン!どこへ行く!?あまり遠くへ行くな!おい!」
親父の無駄にでかい声も耳に入らない程に俺は集中していた
なぜなら今日の夕飯がかかっていたからだ
多く狩ることが出来ればそれだけ沢山食べられるからだ
貧乏人は食い意地がはっているのだ
そして気が付けば俺は親父の元を離れ、知らず知らずの内に獲物を求めて森の奥へと入って行ってしまっていた――
☆☆☆☆☆★★★★★
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青 王(あおきんぐ)
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