第14話 情報交換




 夜のサクラ町を人斬りを探し回っていたサナエと出会い、一悶着あった後に家に招き入れ話をすることになった

 家の中には見回りを終えたシルキーとルドルフがいた


 


  「あらー?誰かなー?その女の人はー?」

  「見たところ武士の方のようですね」

 

  するとサナエは深くお辞儀をして挨拶を始めた

 

 「私はサナエという。立派な侍を志す一人の武士だ!」

  「おーーー!かっこいいーー!サナエたん可愛い顔して言う事がかっこいいねぇー!」

  「いやぁ、ありがとう。そういえば皆の名前を聞いていなかった。どうか教えてはくれないか?」

 

 サナエに言われ俺はみんなの紹介をした

 

  「リオンにグレンにサナエにルドルフ。よし!覚えたよ!君達の事は一生忘れない!」

  「サナエ、お前死ぬのか?」

 

 もう二度と会えない様なそんな言い方をするので思わずツッコんでしまった

 

  「私は侍になるまで死ねない!だが!侍になれたなら!死んでもいい!」

  「いや、ダメだろ。バカかこいつは」

 

 グレンがそう言うと俺は大きく頷いた

 

  「何だか私と似たようなにおいがするねー」

 

 シルキーがそう言うとサナエは自分の体の匂いを嗅ぎ始めた

 

  「におい!?私そんなに臭うか!?」

  「そういうところだと思います」

 

 サナエは自分の衣服や体をくんくんと匂い、ルドルフはそれを見てため息混じりにそう言った

 

  「で、兄さん?どうしてサナエさんを家に連れてきたんだい?何かワケがあるんでしょ?」

 

 ルドルフがそう尋ねるとグレンは話し始めた

 

  「あぁ。どうやらサナエも人斬りを探してるらしい」

  「そーなのー?私達と一緒だねー!」

 

  シルキーがそう言うとサナエは驚き俺達の顔を見た

 

  「一緒?君達も人斬りを追っているのかい?」

  「そうだ。俺なんてこの間、奴に体を思いっ切りぶった切られたよ。今は完治して強くなる為に特訓もしてきたところだ。次に会ったら絶対捕まえてやる!」

  「そうなのか。じゃあ私達は同士というわけだね」

 

 サナエがそう言うとグレンは自分達が知っている人斬りの情報とサナエが知っている情報を交換しようと持ちかける

 サナエはこれに了承し先にこちらの情報をサナエに伝えた

 

  「なるほど。相手は男で鬼の面。恐らくスキルは目に特徴があり、未来予知のような能力か。君達、よく生きて帰ってこられたね…?」

  「まぁな。リオンなんてビビりまくって泣いてたもんな!ははは!」

  「泣いてない!笑うな!次に会ったら絶対俺が捕まえるからな!」

  「俺はまだ死ぬわけにはいかないんだ!とか言ってたのにねーリオっちー!!ぷぷぷー」

  「うっさいなシルキー!!元はと言えばシルキーがドジするから俺一人で戦うことになったんだろうが!」

  「はははははは!!!」

  「次人斬りと遭遇すれば相手はこちらの手の内を知っているし、こちらも相手の能力が……ブツブツブツブツ」

  「あ?まーたルドルフの奴、独り言言い始めやがった!ははは!」

  「あーもう誰か止めてくれーー」

 

 俺をからかい笑うグレンとシルキー、それに加わることなく独り言を言い始めるルドルフ、この状況を止めて欲しいと願う俺

 そんな状況を見てサナエは笑い出した

 

  「あはははは!君達面白いね!こんな愉快な人達と暮らせたら楽しいだろうな!」

  「一緒に暮らせばいいじゃんー!」

  「いや、私には両親も家もあるのでそれは結構」

 

 シルキーの提案をサナエはさらりと断り、本題に戻った

 

  「コホン。私が知っている人斬りの情報だが、君達程多くはない。ただ今までの人斬り被害から見て、ほぼ確定している情報をいくつか共有しよう」

  「是非聞かせて頂きましょう」

 

 ルドルフがそう言うと全員が話を聞く体勢に入った


 

  「まず初めに人斬りが街に現れるのは決まって午前1時を回ってから2時までの間であるということ」

  「すみません、サナエさんはなぜそんな事を知っているのですか?僕達も自身の情報網を使い色々調べましたがそんな事一切わかりませんでしたが?」

  「それは私が立派な侍になれる素質があるからだろうなあ!あはははは!」

 

 そう言われルドルフは冷たい視線をサナエに向ける

 

  「サナエ、ちゃんと答えた方がいい。俺達はまだお前の事を完全に信用している訳じゃないからな」

 

 俺がそう言うとサナエは真顔になり、正直に話し始めた

 

  「私の父は役人で治安維持の部署で働いていてな。そんな父が人斬りの被害があった時、通報が来る時間が決まって午前1時から2時の間だと話しているのを聞いたんだ。どうだい、これで信じてもらえるかい?」

 

 にわかには信じられないが、サナエはこの期に及んで嘘をつくような人間ではないと俺は思った

 それは恐らく皆も同じだったのだろう

 誰もそれ以上は何も言わなかった

 そしてサナエは一度頷き話を再開した

 

  「二つ目の情報だが、次の標的が誰になるか、私にはもう見当がついている」

  「…………!」

 

 サナエの発言に皆息を呑んだ

 グレンは机を叩き立ち上がった

 

  「何故わかる!?んで誰だ!次の標的は!」

 

 グレンが声を荒らげる

 それをルドルフがなだめるように椅子に座らせた

 

  「次の標的は……」

 

 ゴクリ

 

 異様な緊張感を放ちながらサナエは口を開いた

 

  「次の標的はリオンとシルキー、君達だ」

  「えーーーーー!?なんでー!!またあんなのに狙われるのーー!?」

 

 シルキーが大騒ぎし始めた

 すかさずルドルフが止めに入る

 シルキーの反応もわかる

 でも俺には何となくわかっていた

 奴ならまた確実に俺を狙って殺しにくるだろうと

 

  「な、何故二人が、狙われるん、ぐっ、でしょうか!?」

 

 ルドルフはシルキーを押さえ込みながら尋ねた

 グレンは黙って聞いている

 

  「理由はとても簡単。人斬りは今まで標的にした人間は必ず殺しているからだ。一度殺し損ねても二度目に必ず殺す。以前にもそのような事があったから間違いない」

  「なるほどな。んじゃまぁ作戦はこれで決まったな」

  「な、グレンまさか…!」

  「お?さすがリオン!もうわかったのか?」

 

 そう言うとグレンはニヤッと笑い俺を見た

 それで俺は確信した

 

  「俺とシルキーを囮に使うつもりだろ」

  「なっ!そんなもの危険すぎる!辞めるんだグレン!」

 

 サナエは慌てて止めに入る

 しかしグレンはそれに続け作戦を打ち明ける

 

  「詳しくはまたその時話すが、まぁコイツらは奴を誘い出す為のただの餌だ。その餌に食いついた瞬間俺とルドルフで取り押さえる。心配ならサナエも着いてくるか?」

  「あぁ、勿論だ!侍を志す者としてそんな愚行は見過ごせん!私もその作戦に同行しよう」



 こうして人斬り捕縛作戦にサナエも加わる事になった





☆☆☆☆☆★★★★★


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青 王(あおきんぐ)

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