第47話 グレンとルドルフの想いと上の階層



 リオンとサナエが城に取り残されている頃、先にワープゲートへと入っていたグレンとルドルフは――――



「何だァ……ここは……?」


「ヨスガの里とは全く違う景色だね……。辺り一面が砂まみれだよ……」



 ――――砂漠のど真ん中にいた。



「ワープゲートも消えちゃったし、リオンさん達ちゃんとこっちに来られるかな?」


「大丈夫だ。リオンは頭が良いんだ。サナエは馬鹿だが」


「また兄さんはそんな事言って。本当は仲間だと思ってるくせに」


「うっせぇよ……」


 ルドルフがそう言うとグレンは少し照れくさそうに呟いた。

 そしてその後、グレンは真剣な表情でゆっくりと口を開いた。


「なぁルドルフ。俺達とシルキーは家族みてぇなもんだよな?」


 するとルドルフもそれに同調し返答する。


「うん。そうだね。必ずシルキーを連れて帰ろう」


「そう……だよな。……そんじゃあさっさとシルキーとっ捕まえて、皆でリオンの故郷を潰した奴をぶっ倒しに行くぞ……!」


「うん……。そうだね兄さん」


 グレンがそう言うとルドルフはぎこちない笑顔を浮かべそう呟いた。

 するとグレンはそんなルドルフを見てリオンについて話し始めた。


「俺はリオンと出会ってそんなに経ってねぇかもしれねぇ。それでもリオンが良い奴ってのはわかる。ルドルフ、お前もそうだろ?」


「そうだね。リオンさんは何の関係もないヨスガの里の為に命懸けで将軍と戦ってくれたもんね……」


「あぁ。そんな良い奴があんな形で故郷を失ったんだ。可哀想じゃねぇか……」


「そうだね……。フィフシスのあの凄惨な状況を見て絶望しているリオンさんは見ていられなかった……」


「正直俺もだ……。だがリオンはあんな状況下で復讐する道を選んだ。泣けるじゃねぇか。俺はよぉ、ルドルフ。自分が死んでもリオンの復讐に力を貸す。アイツが将軍を倒した時からそう決めてんだ」


「死んでもって……。でも……気持ちは凄くわかるよ。僕もリオンさんを苦しめた元凶は許せない……!」


「はっ! さすが俺の弟だな」


「まぁね。僕には口の悪い兄さんしかいないけどね」


「てめぇ……!!」

 

 こうして二人はシルキーを連れ帰る事だけでなく、リオンの為に怒り、リオンの復讐に手を貸すという大きな決断までしていた――――




 ――――数分後。現在


 

 暫くするとグレンとルドルフの前にワープゲートが出現した。

 その中からリオンとサナエが現れた。


「ごめん、待たせた?」


「ったく。やっと来やがったか」


「ワープゲート、上手く発現させられたようですね。さすがリオンさん」


「ルドルフ、私も協力したのだが?」


 自分も活躍したと言わんばかりにルドルフにツッコミを入れるサナエ。


「そんな事より。この階層、凄い砂だな。あと暑い……」


「主……そんな事って……。……確かに少し暑いかもな」


 俺の言葉に少ししょんぼりとした後、着物の襟元をばたつかせながらそう言った。

 

「そうか? 俺は別に暑いと思わねぇぞ?」


「僕も兄さんと同じであまり暑くはないですね」


 しかし二人は特に暑さを感じないようだった。


「暑いのはしょうがないとして、とりあえず人がいそうな所に行くか?」


「お、さすがリオンだな。知らねぇ階層に来るのは二回目だから慣れてやがんな」


「おいグレン! 少しは主の気持ちを考えたらどうだ!?」


「サナエさん? さっきからリオンさんの事を主と呼びますが、それは一体何ですか?」


  ルドルフがそう聞くとサナエは自慢気な顔をして腰に手を当てて――


「はっはっはー! 何を隠そう私、サナエは! リオンを主君とし、侍となったのだ!」


 ――――と言った。


「へぇー。そうかよ。よかったじゃねぇか」


「ん? 何か反応が薄いな? グレン? もしかして妬いているのか?」


「んなわけねぇだろ!! バカ侍!」


 するとグレンの反応が薄かったのを見て、ニヤニヤとしながらサナエはグレンを煽り始めた。

 しかしグレンはそれを一蹴した。


「おめでとうございます! サナエさん! 夢が叶いましたね!」


「ありがとう! ルドルフは良い奴だな! 兄貴はあんなだが……」


「あん!?」


 ルドルフはグレンとは違い祝福の言葉を贈った。

 サナエはグレンを引き合いに出しルドルフを褒めると、グレンは怒ったような表情を見せる。

 だがグレンはこのくらいで怒ったりするような奴ではないと俺は知っていた。


「まぁまぁ。もうそのくらいでいいだろ。とりあえずシルキーの居場所を探る為に人がいそうな所へ行ってみようか」


 俺が呆れながらそう言うと三人は落ち着きを取り戻し俺の言葉に頷いた。


 辺り一面は砂まみれで近くに人がいそうな気配は一切無かった。

 しかしフィフシス村、ヨスガの里と同様にこの階層も大きな壁に囲まれていた。

 それだけでここはまだ地上ではないと理解出来た。


 そして俺達はそれぞれの想いを胸に、遂にヨスガの里を脱し、上の階層へと足を踏み入れていくのだった――



 

 

 ◇◇◇◇◇


 

 リオン達が到達した階層の名は『サンドレア』。

 かつて活気に溢れ、笑顔が絶えない平和な国だった場所――――――




 第二章 ~完~



 ☆☆☆★★★☆☆☆★★★


 ここまで読んで頂きありがとうございます!


 次回から第三章に入ります!

 

 砂にまみれたこの国は一体どんな所なのか。

 シルキーを無事連れ帰る事は出来るのか。

 リオンの故郷を潰した犯人の手掛かりは掴めるのか。


 是非引き続き読んで下さればと思います!


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 青 王(あおきんぐ)

 

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