第47話 超絶美少女と二人が聞きたいこと
「……」
「……」
思わず琴美にキスをしてしまってから、俺たちはずっと互いに背中を向けて黙り込んでいた。
どうして俺はしてしまったんだー!
心の中で叫んだ。だって、しょうがないじゃないか。琴美があまりにも魅力的だったから。それに、あんなこと言うから。雰囲気に流されてキスをしてしまった。
「琴美……その、ごめん……」
「ううん。大丈夫。それに、こ、恋人同士だったらキスくらいいつでもするから」
「い、いつでも……」
「ご、誤解しないでよ! いつでもしていいってわけじゃないからね!」
「分かってるよ……」
あんなことをしてしまった後だから、琴美の一言一言にドギマギさせられた。
「と、ところで今回のあれはどうする?」
「あ、あれって?」
「ほら、勝った方がなんでも相手に聞きたいことを聞けるってやつ。今回、同率一位だったろ」
「そ、そうだね」
「だからどうしようかなって……」
どうしても意識してしまって会話がぎこちなくなってしまう。きっと琴美も同じなのだろう。
「蒼月君は私に聞きたいことある?」
「う~ん。本当は今回勝って琴美の誕生日を聞こうと思ってたんだけどな」
「そ、そうだったんだ」
「もう、知っちゃったしな。琴美は俺に聞きたいことあるのか?」
「あるといえばあるかな〜」
「それはなに?」
なぜか琴美は言いだしづらそうにしていた。
そんな様子を見て俺は少し身構えてしまう。一体何を聞かれるのか。
「あのさ……」
「うん」
「もしも、来週からこの家で住ませてほしいって言ったらどうする?」
「はっ!?」
言っている意味がよく分からなかった。
琴美は今なんて言った? この家で一緒に住む? それはどういった意味で?
俺の頭の中は混乱していた。
「えっと、どういうこと?」
「だよね。いきなりそんなこと言われてもそうなるよね」
「うん。混乱してる」
「分かる。分かる。私も言われた時、混乱したから」
「で、どういうこと?」
「実はさ、お母さんがあの家、来週で解約するって昨日言ってきたの」
「……マジの話? ドッキリじゃなくて?」
俺は部屋の中をきょろきょろと見渡した。どこかに監視カメラが……あるわけないか。
「ほんとの話。だから、私、来週から家なくなるんだよね~。しかも、解約した後は蒼月君の家でお世話になりなさいって言いだして」
「俺の意見は?」
「あの人が人の意見聞くと思う?」
俺は琴音との対面した時のことを思い出していた。確かに、あの人は人の話を聞かなそう。世界は自分中心で回ってると思ってるタイプだ。
「聞かなそうだな」
「でしょ~。だから、ダメかな?」
「ダメではないけど、琴美はいいのか?」
「う~ん。まあ、蒼月君と一緒にいる時間が長くなるなら私はいいよ」
そんなこと言われたら断れるわけがない。
親にどうやって説明しようか。親・・・・・・?
そういえば、何か忘れてる気がする・・・・・・。まあ、いっか。
「まあ、琴美がいいなら俺もいいよ」
「ほんとに! ありがと。これで一安心だ~」
「でもさ、いろいろ大丈夫なのか? 学校とかにはどう説明するんだ?」
「それは、まあお母さんが何とかしてくれるでしょ」
「適当だな~」
「そんなことはいいの。それよりも蒼月君と一緒に暮らせることが楽しみすぎる!」
琴美は本当に嬉しそうに笑っていた。俺も嬉しいんだけど、本当にこれでいいのだろうか。若干の不安を覚えつつも琴美と一緒に暮らせることが楽しみではあった。
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