第101話 新学期(二年生)①
四月。
出会いの季節がやってきた。
人生は出会いと別れの連続だとよく言う。
生きているうちに一体どれだけの人と出会うのだろうか。そして、その中で何人の人と関わり合いを持つだろうか。
クラスメイトは三十四人。俺はその中の何人と話すだろうか。その中に琴美は入っているのだろうか。
俺は琴美と一緒に学校に向かい生徒玄関に張り出されているクラス名簿の紙を見ていた。
「あ! 私の名前あった! 六組だ。
俺も自分の名前を探した。
あるクラスで名前を見つけた。こんなことってあるのだろうか。
神様のいたずらか、先生たちのいたずらか。とにかく、俺はその結果に驚きと嬉しみを抱いていた。
「俺も六組だな」
「だね! 今年も一緒だ! 嬉しい!」
「どうやら、俺たちだけじゃないみたいだぞ」
「みたいだね」
琴美も気が付いているらしく、その顔は破顔していて嬉しそうだった。
「よう。蒼月。おはよう」
「ああ、英彦。おはよう」
俺たちの後ろに英彦と平子さんがいつの間にか立っていた。
「アリス~。おはよう」
「ちょっと、朝からテンション高いわね」
琴美は平子さんに抱き着いていた。
平子さんはチラッと六組のクラス名簿を見て、そういうことね、と頷いた。
「だって、喜ばずにはいられないじゃん! こんなの!」
「そうね。私も琴美と同じクラスになれて嬉しいわ」
「ね! 今年一年よろしくね!」
「うん。よろしく」
平子さんも琴美と同じクラスに慣れたことが嬉しらしく満面の笑みだった。
「また一緒だな」
「そうだな」
「なんだか、今年は騒がしくなりそうだな」
「かもな」
「まぁ、楽しそうでいいか」
「……ああ」
琴美は子供のように嬉しそうにはしゃいでいた。
昨日はあんなことを言ったが、俺も内心めちゃくちゃ嬉しかったりする。琴美の願いが叶ったこともそうだが、なによりこの四人が同じクラスにいることが嬉しかった。
誰が、クラスを決めたのか分からないけど、感謝しないとな。
新学期早々、素敵な奇跡を体験してこの先の未来が楽しみになった。
「それじゃあ、教室に行こうー!」
「そうね」
「そうだね」
「ああ」
俺たちは四人で一緒に六組の教室に向かった。
さすがに席はみんなバラバラの位置に配置されていた。
俺はクラスメイト達の顔ぶれを見た。目立った生徒はそこまでいなさそうだな。去年同じクラスだった生徒もちらほらといる。これなら、穏やかな学校生活が遅れそうだな。
新しいクラスになり始業式を終え、担任の先生の話を聞き終えると下校となった。
担任の先生は去年、この学校に配属になったばかりの女性の新任教師だった。
「蒼月君。楽しい一年になりそうだね」
「そうだな」
琴美が帰りの準備を終えて俺のところにやってきた。
英彦と平子さんも俺の席に集まってきた。
もしかして、これから毎日のように俺の席に集まってくるのか。それは、勘弁してほしい。久しぶりに浴びるクラスメイトからの視線に俺は教室から逃げ出したくなった。
「それじゃあ、四人でお昼ご飯でも食べに行きますか!」
琴美がそう提案して二人が賛成と声をあげる。
「蒼月君も行くよね?」
「そうだな」
俺が席から立ちあがると四人で教室から出て学校を後にした。
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