第61話 超絶美少女と体育祭

 体育祭五日前。俺たちは当日のメンバー決めをしていた。

 琴美の足はまだ治ってはいなかった。少しは歩けるようになったみたいだが、今もまだ引きずりながらだった。


「じゃあ、どの競技に出るか決めるぞ~」


 黒板の前には英彦が立っていて、しきっていた。

 さすがクラスのまとめ役、的確に生徒の振り分けをしていた。

 そして、なぜか俺は騎馬戦に出ることになっていた。

 

「なんで、俺が騎馬戦に?」

「しょうがないだろ。どれかには出なきゃいけないんだから。蒼月ができるのって、騎馬の上に乗るくらいだろ」

「まあ、確かに他の競技には出たくないな……」


 足も速いわけじゃないし、筋力もあまりないからな。妥当といったところか。

 

「あとは、二人三脚だけど。出たいやついるか~」

「はーい。蒼月君と一緒に出る!」

「了解。七瀬さんと蒼月ペアね。それ以外に出たい人ー」


 なぜか自然と決まってしまった。クラスの反応も当然だなといった感じだった。そのあと、二人三脚のペアが数組決まって、体育祭のメンバー決めは無事に終わった。


「よし。メンバー決めはひとまず終わりだな。明日の放課後から練習がスタートだから、みんな、気合い入れてよろしくな~」


 英彦がそう言うとクラスメイト達は「おー」と声を上げた。

 球技大会が行われて以来、クラスのまとまりがよくなっているのは気のせいではないだろう。

 メンバー決めが終わって今日の授業はすべて終わった。


「これは、体育祭も優勝はもらったな」

「俺たちは球技大会、優勝できなかっただろ」

「そうだったな」


 英彦は俺の肩をバシバシと叩いた。


「だったら、今回はリベンジだな」

「そう、だな」


 このクラスで優勝したい。今までになかった感覚が俺の中に芽生えていた。

 こういうのも青春というのかもな。


「七瀬さんの足は治りそうか?」

「どうだろうな。少しずつ良くなってるみたいだけど、体育祭までに間に合うかは微妙なところかもな」

「そうか。一応、予備のメンバーも考えとかないとな。なにせ、七瀬さんはこのクラスの主軸だからな。いるのといないのとでは大きく違ってくる」

「あんまり、琴美に無理はさせるなよ」

「分かってるよ。その分、お前に騎馬戦で頑張ってもらうから」


 騎馬戦は他のクラスの鉢巻きを取れば取るほど得点が追加される競技だ。結構、これが勝負を大きく分けることになると思っている。


「ということで、明日から練習だからな。ちゃんと参加しろよ」

「分かってるよ」


 そう言い残すと英彦は部活に向かった。英彦と入れ替わるように、俺たちが会話を終えたことろを見計らって、琴美がやってきた。


「話は終わった?」

「うん。帰るか。歩いて大丈夫か?」

「大丈夫だよ。蒼月君。過保護すぎ」

「そりゃあ、大事な彼女だからな」


 俺は琴美の頭をポンポンをして、自分の肩を貸した。琴美は素直に俺の肩に手を置いて、二人でゆっくりと学校を後にした。

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