第60話 超絶美少女と祝勝会(コーンベーコンピザ)

 翌日の休日、俺たちはささやかな祝勝会を開いた。


「改めて、優勝おめでとう」

「ありがと。て、私一人の力じゃないけどね~」

「まあまあ、細かいことは置いといて食べよう」


 さすがに琴美にあの足で無理はさせられないので、ピザを頼んだ。俺が料理を作ってもよかったのだが、台無しにしてはいけなかったのでやめておいた。それに、俺が料理してると琴美が心配するだろうし。


「美味しい~」

「ほんとだな。このピザにしてよかったな」

「だね~」


 俺たちはコーンとベーコンのピザを頼んだ。


「それにしても琴美はほんとに運動神経がいいな」

「そうかな?」

「バスケのシュートなんて綺麗だったぞ」

「ほんと? 嬉しい」

「バスケやってたのか?」

「ううん。スポーツは何もしてない」

「マジか!」

「うん」

 

 ほんとに神様から愛されてんな。

 そんな琴美は幸せそうにピザを食べていた。


「足はどうだ?」

「う~ん。まだちょっと痛いかな。歩けなくはないんだけどね」

「そっか。遠慮せずに何でも言えよ」

「うん。ありがと」


 琴美にはいつもご飯を作ってもらってるからな、こんな時くらい俺が支えないとな。


「二週間後の体育祭までに治るかな?」

「治るんじゃないか」

「治ってくれないと困る。蒼月君と二人三脚したいのに!」

「そういえば、そんなこと言ってたな」

「絶対にやるんだからね。約束だよ」

「分かってるよ。琴美は早く足を治さないとな」

「治すから!」


 昨日、球技大会が終わったのに、もう二週間後には体育祭か。積極的に参加するつもりなんてなかったけど、昨日のあれを知ってしまったら、少しは参加してもいいかなと思ってしまっていた。


「琴美はまた活躍しそうだな」

「活躍できるかどうかは分かんないけど、楽しむつもりだよ」

「俺も楽しむかな……」

「え!? どうしたの!?」


 琴美が驚いた顔をして俺のことを見た。


「そんなに驚くことか?」

「だって、球技大会であんなに嫌がってたのに……。さては、私の知らないところで何かあったな」

 

 琴美がニヤニヤと笑っている。

 何かあったといえばあったかな。少しは変わってみようと思うくらいには。


「まあな」

「そっか、そっか。それはよかった。じゃあ、一緒に楽しもうね」

「そうだな。でも、体育祭ではケガするなよ」

「分かってるよ。蒼月君もだからね。はしゃぎすぎてケガしたらダメだよ」

「するわけないだろ。琴美じゃないんだから」

「もう! そんなこと言うんだ! そんなこと言う人にはこうだ!」

 

 琴美は俺の膝の上に頭を乗せて寝転がった。

 俺は琴美の頭をそっとなでる。琴美は幸せそうに微笑んだ。

 ちょっとずつ変わっていけばいんだよな。急いで一気に変わることなんてない。帆とそれぞれのペースで変わればいい。そしたらきっと、気が付いた時には新しい自分になっているから。

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