第79話
俺たちは葵の提案でショッピングモールにやってきていた。
目的は特になく。夜ご飯の材料を買ってだらだらとショッピングモール内を歩くことになった。
「琴美ちゃん何か欲しいものある?」
「ほしいものですか」
琴美が腕を組んでほしいものを考えていた。
「本ですかね」
「そういえば、琴美ちゃんは読書家だったわね。感心、感心」
「だから本が欲しいですかね」
「よし、じゃあ本屋さんに行こう!」
前を歩く二人がそんな会話をしていて、本屋に行くことが決まったらしい。
そういえば、琴美は知ってるのだろうか。葵が小説家ということを。
「お母さんは、最近は何か本を出したのか?」
「もちろん出してますよ。蒼月は本をあんまり読まない子だったね」
「最近は琴美の影響で少しは読んでるよ」
「そうなのですね。葵さんの小説は読みましたか?」
「そういえば、まだ読んだことないかも」
今度、図書館で借りてみるか。
葵はそれなりに有名な小説家らしい。俺はあんまり詳しく知らないけど。
そうこうしているうちに本屋に到着した。
「琴美ちゃんは普段どんな本を読むの?」
「基本的になんのジャンルでも読みますよ」
「じゃあさ、じゃあさ、おすすめの本があるんだけど!」
「ぜひ、知りたいです」
葵が琴美の手を引いてミステリー小説のコーナーへ向かった。
ミステリー小説コーナーってまさか。一応、葵がミステリー小説を書いているということくらいは知っている。
「あった、あった! この本なんだけど、読んだことある?」
「あ、その作家さん新刊出ててたんですね! 私大好きです!」
「そっか、そっか、大好きか~。嬉しいね~」
「どうして、葵さんが照れてるんですか?」
琴美は不思議そうな顔をして、葵のことを見ていた。
その反応は知らないっぽいな。
「それは、お母さんが書いてる小説」
「え……」
「そういうことなのです!」
葵は胸を張ってえっへんと嬉しそうな顔をしていた。
「え、ええ、えええーーーーーー!」
「琴美、声大きすぎだから」
「ご、ごめん。びっくりして」
琴美はキョロキョロとあたりを見渡して、俺たち以外に誰もいないことを確認すると、ホッとした表情になった。
「あの、これ買います! なので、その、あとでサインを……」
「もちろん、いくらでも書いちゃうよ~」
俺も琴美が読み終わったらか読んでみるかな。
葵が自分の書いた小説をレジに持って行って購入した。なんだか、それがおかしく思えた。
本を買い終えると、次のお店へと向かうのであった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ここまで読んでいただきありがとうございます!
【フォロー】【いいね】【☆】いつもありがとうございます。
読者の皆様の応援が書くモチベーションになります!
基本的に作者が読みたいものを書いてるだけなので温かい目線で読んでいただけると嬉しいです。
Twitterもしてるのでよかったらフォローお願いします!。
【@kuga_kakuyomu】
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます