第74話

 始業式が終わり、あっという間に年末がやってこようとしていた。

 師走というのは本当に早く過ぎ去っていく。一日が尋常じゃなく早く終わる。


「明日、行くけど、準備は大丈夫か?」

「うん。もう終わってるよ~」

「ならよかった」

 

 引っ越しをたくさんしてるからパッキングは得意なのだろう。琴美はすでに準備を終えているみたいだった。

 

「それより、蒼月君の方こそ準備は終わってるの?」

「お、終わってるよ」


 実は終わってなかったりする。というか、準備をする必要がほとんどない。なぜなら、俺の実家に行くからだ。実家には俺の着替えは置いてあるし、持って行かないといけないものはほとんどなかった。


「楽しみだな~。久しぶりに葵さんに会えるの!」

「お母さん、今家にいるって?」

「いるらしいよ。年末は家で二人でゆっくりするって言ってた」


 俺より、俺の親に詳しいってどうなんだ。と思うが、琴美は毎日のように葵と連絡をしているそうなので、詳しくて当然かと思う。



「蒼月君のお父さんに会うのも楽しみだな~」

「普通の人だぞ。お母さんと違って」

「葵さんアクティブだもんね」

「琴美のお母さんには負けるかもしれないけどな。そう言えば、元気か?」

「うん。元気みたいだよ。バリバリ仕事してると思う」

「それはよかった」


 夕飯を食べ終えて、後はお風呂に入って寝るだけになった。

 

「先にお風呂に入ってくる?」

「うん。行ってくるね」

「了解。俺はその間にお皿を洗っとくから」

「ありがと」


 琴美は一旦、自分の部屋にお風呂の用意をするために戻っていった。

 さて、お皿洗いをしますか。俺は二人分のお皿を洗い始めた。

 

「お父さんもいるのか。なら、俺がお母さんのことを止める役目をしなくてもいいな」


 葵は言うまでもなく、父にぞっこんだった。お父さんの前だと、猫をかぶったようにしおらしくなる。だから、この前の突撃訪問のようなことにはならないだろうと思う。そう思いたい。

 お皿を洗い終わると、お風呂から上がってくる琴美を本を読みながら待った。


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ここまで読んでいただきありがとうございます! 


気がつけば一年生も終盤です!

あと少し、一年生編をお付き合いください☺️

 

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