第75話

 翌日、俺たちはバスに乗って実家に向かっていた。 

 実家といっても、それほど離れているわけではなく、徒歩で十五分程度しか離れていない。

 俺の実家は住宅街を少し歩いたところにある二階建ての一軒家だ。


「ここが、蒼月君の実家」

「うん」

「確か、この近くだよね。蒼月君と初めて会ったの」

「そうだな。ここからそんなに離れてないところだな」

「あとで行ってみようよ」

「なんでだよ。別に用事ないだろ」

「えー。いいじゃん。思い出を巡る的な?」

「何だそれ、変なこと言ってないで入るぞ」


 俺は呼び鈴を鳴らして、合い鍵を使って中に入っていった。

 琴美が、待ってよ、と言いながら、俺の後を続く。


「お母さん。ただいま」

「琴美ちゃん! いらっしゃい!」

「葵さん、お邪魔します」


 琴美がペコっと葵に向かって頭を下げた。

 てか、俺を華麗に無視してないかこの人? まあ、いいんだけどな。寂しくなんかない。

 

「あら、蒼月いたの?」


 さすがにその言葉は傷つく。


「こら、葵さん。蒼月をからかうのはその辺にしてあげなさい。蒼月の心が悲しんでるよ」

「ごめん。ごめん。蒼月おかえり」

「お父さん、ただいま」


 俺はお返しのつもりで葵の挨拶を無視して、雄二に挨拶をした。


「雄二さん! 蒼月がいじめる~」

「葵さんが先にやったんだから。これでお互い様でしょ」


 そう言って、葵の頭を優しくなでる雄二。

 まったく、玄関先でイチャつきやがて。みてみろ、隣に立っている琴美が顔を赤くして立ち尽くしてるじゃないか。


「琴美、大丈夫か?」

「え、あ、うん」


 琴美は顔をふるふると振って気を取り直した。

 そして、雄二にの方を向いた。


「は、初めまして、蒼月君とお付き合いさせてもらってます。七瀬琴美と言います。よろしく、お願いします」


 琴葉、緊張しながらも丁寧な言葉づかいで有事に頭を下げた。


「わざわざ、ありがとう。私は佐伯雄二さえきゆうじと言います。蒼月の父です。よろしくね琴美さん」


 雄二は人のよさそうな笑顔でそう言った。琴美と雄二との対面も無事に終わったことだし、そろそろ家の中に入りたいんだけどな。


「ね! 私の言う通り琴美ちゃん可愛いでしょ!」

「そうだね」

「早く私たちの娘にならないかしら~」

「あはは。まだ気が早いんじゃないかい」

「だって、もう可愛すぎるんだもん~」

 

 葵と雄二がイチャついてて家の中に上がるに上がれなかった。隣に立っている琴美を見ると、恥ずかしそうな嬉しそうな、複雑な顔をしていた。

 俺は琴美の肩をトントンと叩いて、二人は無視してリビングに行こうと促した。


 


た。


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実家編に突入します〜!

 

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