第70話 超絶美少女と誕生日

 季節は冬に近づこうとしていた。

 だんだんと、外気がつめたくなっていくのを肌で感じていた。

 そろそろ、冬用の制服を着ないとな。今年の冬は結構寒くなるらしい。雪は降るのだろうか。去年はあんまり降らなかったから、もしも、降るのなら楽しみだった。


「今日は付き合ってくれてありがとうな」

「いいってことよ。俺がアリスの誕生日プレゼントを選ぶときに蒼月についてきてもらったからな」

 

 俺は翌日に控えた琴美の誕生日プレゼントを買うべく、英彦と一緒にショッピングモールにやってきていた。明日の誕生日を迎える本人は今日は平子さんと一緒に先に誕生日会をするらしい。もしかしてら、平子さんが俺たちに気を利かせてくれたのかもな。


「で、何買うか決まってるのか?」

「一応な」


 俺が今、首に着けている、琴の形のシルバーネックレスをもらった時から大体の目星はつけていた。そして、前回英彦と一緒に買い物に来た時にそれがあるのも確認済みだ。後はそのお店に行ってそれを買うだけ。


「何を買うんだ?」

「ネックレスにしようと思ってる」

「そうか。どんなネックレスにするんだ?」


 目的のお店に到着した。

 ショーケースに並んでいるネックレスの中から俺は目当てのものを探し当てて定員さんに、これをくださいと言った。


「おー。なるほど。考えたな」

「だろ。これを見た時から、これにしようと思ってた」


 俺が店員さんに頼んだネックレスは蒼い宝石がついた月の形をしたものだった。


「こちらでお間違いないですか?」

「はい」

「包装紙でお包みしますか?」

「あ、お願いします」


 店員さんに包装してもらうまで少し時間があった。


「英彦、体育祭の時はありがとうな」

「ん? なんのことだ?」

「まあ、いろいろだ」


 俺は照れくさくなってそれ以上は何も言わなかった。


「俺は何もしてないよ。蒼月の頑張りにみんなが感動したんだろ。頑張る姿にはぐっとくるものがあるからな」

「……」

「あのクラスでいられるのも、もう少ししかないんだな」

「そうだな」

「寂しいな」

「ああ」


 せっかく、仲良くなってきたのに、来年にはクラス替えで大半のクラスメイトとは別のクラスになってしまうことになるだろう。中学生の時はなんとも思わなかったんだけどな。今は、クラスメイトと離れ離れになるのが凄く寂しい。


「お待たせいたしました」


 包装をし終えた箱を持って店員さんがやってきた。

 俺はそれを受け取って、お店から出た。

 それから俺たちは昼食を一緒に食べてショッピングモールを後にした。

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