第103話 新学期(二年生)③


 多分、この時期になるとほとんどの生徒が思うのではないだろうか。

 去年一年でどのくらい背が伸びたのだろうかと。

 俺もそのうちの一人だった。実は柄にもなくそわそわしている。


「なんか、蒼月君がそわそわしてる気がする……」


 という風に琴美にも見抜かれる次第だった。

 

「まぁ、その気持ちわかるけどね」

「琴美も楽しみなのか?」

「そりゃあね。でも、伸びてない気がするんだよね~」


 琴美は残念としょげていた。


「別いいいんじゃないか。今のままの琴美で可愛いんだから」

「そ、そうかな……。てか、不意打ちでそんなこと言わないで!」


 琴美は顔を赤くして逃げるように自室に戻っていった。

 さて、俺も着替えるか。

 自室に戻り、制服に袖を通した。最近ずっと思っていたけど、やっぱり小さくなった気がする。新しいのを新調してもらわないとな。


「ということは、俺は去年より大きくなっているのか……」


 ますます、今日の身体測定が楽しみになった。

 

「琴美~。そろそろ行くぞ~」

「は~い」

 

 着替えを済ませた琴美と一緒に家を出て学校に向かった。

 身体測定は一限目からなので、SHRを終えたらすぐに体操服に着替えた。

 身体測定は基本的に誰と一緒に行動してもいいことになっているので、俺たちはいつもの四人で回ることにした。

 視力、聴力、を測定し終えた俺たちは体育館に向かった。身長と体重は体育館で測ることことになっている。

 体育館に到着すると、あるところだけ行列ができていた。その行列の先を見てみると、そこは俺たちの担任が担当をしているみたいだった。


「凄い人気だね。葉月先生」

「だな。どうする? 俺たちは少ないところでいいか?」

「そうだね。葉月先生に測ってもらいたいけど、時間かかりそうだもんね」

「二人もそれでいいか?」

「ええ」

「いいぞ」

 

 ということで、俺たちは葉月先生の列に並ばずに、人が少ないところを選んで並んだ。

 人があんまりいなかったので俺たちの順番はすぐにやってきた。

 

「次の人どうぞ~」


 俺は計測器の上に立った。

 去年と比べてどれだけ伸びているだろうか。

 

「168㎝ね。はい、次の人どうぞ~」


 168㎝。去年と比べて2㎝も伸びていた。

 おお。後、2㎝で170㎝か来年までに伸びるかな。


「蒼月君どうだった~?」


 身長を測り終えた琴美が俺のもとにやってきた。


「ん。2㎝伸びてた」

「凄いじゃん~」

「琴美は、どうだったんだ?」

「私はね~。やっぱり伸びてなかった」


 がっくりと首を落とす琴美。

 

「朝も言ったけど、琴美は今の身長くらいが可愛いくていいと思うぞ」


 そう言って、俺は琴美の頭を撫でた。

 うん、撫でやすい。


「ぶぅ~。私だってもう少し身長高くなりたいもん」

「そうなのか?」

「うん。でも、蒼月君が今のままがいいって言うなら、伸びなくてもいいかな……」


 琴美は恥ずかしそうに顔を赤くしてそう呟いた。

 まったく、ほんとに可愛いな。俺は撫でやすい琴美のことを何度も撫でてやった。

 ちなみに、英彦も2㎝身長が伸びたらしい。平子さんは変わらずだったそうだ。




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