第55話 超絶美少女と球技大会
琴美との同棲が始まって一ヶ月が経った。
最初はどうなることかと思ったけど、慣れてしまえば毎日が最高のものになった。毎日好きな人と一緒にいられるだけで幸せだ。
琴美も、最近はよく眠れるようになったらしく、目の下にクマを作ることもなくなった。
「蒼月。おはよう!」
「英彦か。なんかテンション高いな」
俺が自分の席で本を読んでいると後ろから背中を叩いて英彦が声をかけてきた。
今日の英彦はいつも以上にテンションが高い。何かいいことがあったのだろうか。
「そりゃあな! なんてたって、来週、球技大会があるからな!」
「ああ、そういうことか」
そういえば来週、球技大会があるんだったな。まあ、俺には関係ないけどな。
「お前も一緒にソフトボールに出ないか?」
「やだよ。俺は何にも出ない」
「そう言うと思った」
英彦は豪快に笑うと自分の出来に戻っていった。
球技大会ね。琴美は運動神経がいいからきっと活躍するんだろうな。
「まあ、俺には関係ないな」
俺はそう呟くと、本をまた読み始めた。
「それじゃあ、来週の球技大会のメンバーを決めます」
担任が来週行われる球技大会の種目を黒板に書いていった。
サッカー、ソフトボール、バレー、バスケットボール、この四種目をクラス生徒で四等分する。中には二つの種目に出る者もいるだろう。俺みたいに不参加の生徒がいるからな。
「一つずつ種目を読み上げていくので、やりたいやつに手を挙げてください」
担任が一つずつ種目を読み上げていく。男子はサッカーかソフトボール。女子はバレーとバスケットボールで分かれる。
英彦はソフトボールに手を挙げている。琴美はバレーとバスケットボールに手を挙げていた。
「あとは、ソフトボールが一人ですか。誰かやりたい人はいませんか?」
他の三種目のメンバーは決定して、残りはソフトボールだけとなった。そして、なぜか、英彦がこっちを向いてきた。
その目はやれって訴えかけてきている。さらに、琴美の方を見ると、同じような目で俺のことを見ていた。
分かったよ。やればいいんだろ。どうせ、あのメンバーなら試合には出るころはないだろうから、近くで観戦できるとでも思えばいいか。
「やりましょうか?」
「佐伯君。ありがとう。じゃあ、これで決まりね」
ということですべての種目のメンバーが決まって、今日の授業はすべて終わった。
「蒼月、頑張ろうな」
「お前らが凄い視線を送ってきたkら仕方なく手を挙げただけだ。試合には出ないからな」
「分かってるって」
英彦は何かを企んでいそうな含みのある笑みを浮かべていた。
「なんだ、その顔は?」
「さあな。。とにかく、当日が楽しみだ」
「そうだな。俺はお前を応援しとくよ」
「俺をじゃなくて俺たちをただろ?」
英彦はそう言い残して、部活に向かった。
「私は応援してくれないんだ?」
「え……?」
振り向くとそこには琴美が頬を膨らませて立っていた。
「で、私は応援してくれないの?」
「もちろんするに決まってるだろ。てか、二個も出て大丈夫なのか?」
「もちろん!」
琴美は得意げに胸を張った。
「そっか。頑張れよ。じゃあ、帰るか」
「頑張るよ!」
あんまり無理しすぎてケガをしないといいけどな。
俺たちは一緒に学校を後にして、夕飯の買い物をするためにスーパーに向かった。
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