第95話 二年生へ

 冬休みが明け、冬休み明けテストが終わると一気に時間は流れていった。

 気が付けば、今日は三年生にとっては卒業式。俺たちにとっては終業式だった。

 今年は何だか時間が進むのが早かったように感じる。 


「一年って早いな」

「どうしたの?」

「いや、ふと思ってさ」


 学校に登校する前、琴美と向かい合って朝食を食べていた。

 目玉焼きにソーセージに塩鮭。うん。いい朝食だ。

 このご飯があるから俺はこんなことを思ってるのだろうか。


「中学生の時は早く終わらないかなとか思ってたんだけどな」

「そうなの?」

「うん。なのに今は終わってほしくないって思ってる」

「なんで?」

「なんでだろうな」

「もしかして私がいるから?」

「かもな」

「へっ……」


 琴美は箸を落としそうになったがギリギリセーフ。

 しかし、琴美の顔は面を食らったような感じだった。


「そ、そっか~。私のおかげか~」

「ほんと、琴美と一緒に過ごすようになってから、そんな風に思うようになったよ」

「嬉しいな~。蒼月あいと君がそんな風に思ってるなんて」

「それだけ琴美が俺にとって大事な存在ってことだ」


 いろんな意味でな。


「も、もう! 朝から恥ずかしいからやめて!」


 琴美は手に持っていた茶碗で自分の顔を隠した。

 隠れてませんよお嬢さん。琴美の顔は真っ赤に染めあがっていた。

 

「まあ、だから、あれだ。いつもありがとうな」

「私の方が蒼月君に助けられてるんだから!」

「そこで張り合うのかよ」


 俺は声を上げて笑った。そんな俺につられるように琴美も笑った。

 朝食を済ませると、学校に向かう準備をして二人で家を出た。

 俺たちも二年後には高校を卒業するんだな。まだ、先のことだと思って油断してたらあっという間に訪れてしまいそうだな。


 二年後、俺たちはどうなっているんだろうか。未来のことは誰にも分らない。もしかしたら、琴美と別れてる未来があるかもしれない。決してそんなことはないと思っていても、ちょっとしたボタンのかけ違いで終わってしまうのが恋愛というものだ。


 俺たちはたまたま同じ位置にボタンと穴があっただけに過ぎない。ボタンの糸がほつれて取れることもあるだろう。穴が破れてボタンを留めることができなくなることもあるだろう。だけど、それに注意をして二人でボタンをかけあっていくのが恋愛というものでもあると思ってる。


 ボタンが取れそうなら取れる前に直せばいい。穴が破れそうなら破れる前に直せばいい。そう言ったちょっとの気遣いが長持ちする秘訣なのだと思う。

 そして、きっと俺と琴美ならそれができると思っている。

 俺は隣を歩く琴美の手をそっと握ってこう言った。


「これからもよろしくな」

「私の方こそよろしくね。絶対に離さないんだから!」


                                      (一年生編)  完




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ここまで読んでいただきありがとうございます! 


一年生編これにて終わりです!

本当にここまで読んでくれた皆さんありがとうございます😭

応援ありがとうございました♪


こんなにもたくさんの方に読まれるとは思ってなかったので作者はビックリしてます❗️


もちろん、二年生も書くつもりなので

今しばらくお待ちください!

おそらく4月頃からになると思います😁

ですが、二年生は100話からにしようと思ってるので、番外編として4話書こうと思ってます!

誰のお話になるかはお楽しみということで✨

それまでは、他の作品もお楽しみください!


ご愛読ありがとうございました♪

これからも応援よろしくお願いします☺️


ちなみに月間47位になってました✨

過去最高だと思います🤔


【フォロー】【いいね】【☆】いつもありがとうございます。

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 基本的に作者が読みたいものを書いてるだけなので温かい目線で読んでいただけると嬉しいです。


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