第91話
初日の出を見終わると、琴美は早速、お昼に食べるおせち作りを始めた。なんでも、葵と一緒に作るらしい。だが、葵の姿はキッチンにはなかった。どうやら、まだ寝ているらしい。
「お母さん、起こしてくるか?」
「ううん。いいよ。寝かしといてあげようよ」
「分かった。一人で大丈夫なのか?」
「うん。毎年作ってるからね」
「さすがだな」
琴美はおせちも作れるらしい。
本当に、なんでも作れるな。俺は感心するしかなかった。
俺は何も手伝えることはなさそうだったので、葵の小説の続きを読むことにした。
ちなみに、今読んでるのは第三作目。あと、二冊読めば、最新刊となる。先はまだ長いようだ。
一時間も小説を読んでると、葵と雄二が二階から下りてきた。
「二人ともおはよう〜」
「おはよ」
「おはようございます」
「琴美ちゃんごめんね〜。寝過ごしちゃった」
「大丈夫ですよ。葵さん小説でお疲れでしょうし。もう少しで、おせちも作り終わります」
「ほとんど、やってもらって悪いわね〜」
葵はキッチンに向かって琴美の作ったおせちを見定めるように見ていた。
「蒼月、おはよう。初日の出は見れたかい?」
「ちゃんと見れたよ」
「そうかい。それは、よかった」
雄二は優しく微笑む。
昨日の夜、雄二たちに初日の出を見ることは伝えていた。
「なにか、いいことでもあったのかい?」
「え、なんで?」
「顔が緩んでるからね。なにかいいことでもあったのかと思ってね」
「お父さんは、なんでも見てるね」
さすがだな。
周りの人のことをよく見てる。
いいことね。あったといえば、あったのかな。
いい初夢が見れたし。
「まあ、いいことはあったかな」
「そうかい。それは、よかったね」
そこで、有事は話を切ってテレビをつけて。
俺は小説に目を戻した。
それから、また一時間くらい読んでるとお昼になった。
「はい。お待たせ〜」
琴美が手作りのおせちを持ってきた。
重箱に入ったおせちは色彩豊かだった。中には何種類ものおせちが入っていた。
「琴美ちゃん、すごいよね!」
「本当だね。葵さんと同じくらい美味しそうなおせちだね」
「もう、雄二さんったら! でも、本当に美味しそうよね!」
「そんなに、褒めないでください!」
琴美が恥ずかしそうに顔を赤くして小さめに叫んだ。
そんな、琴美の姿を見た葵と雄二は楽しそうに笑っていた。
「ほんとに、琴美ちゃんかわいいわ〜」
葵がそう言いながら琴美に抱きついた。
楽しそうでいいな。二人のそんなやりとりを見てると、本当の親子みたいだった。
琴美のおせちはどれも美味しかった。やっぱり、琴美の料理は最高だな。何度食べても、食べるたびにそう思わされる。
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