第31話 超絶美少女と誕生日プレゼント

 俺と琴美は俺の誕生日に晴れて恋人となった。

 これ以上に嬉しい誕生日プレゼントはないのではないだろうか。


 琴美はすっかりと泣き止んでいて、自分で作ったチョコレートケーキを幸せそうに食べている。俺もその隣で一緒に食べていた。


「ほんとに美味しいなこのケーキ」

「次は何ケーキが食べたい?」

「そうだな〜。チーズケーキとか作れる?」

「もちろん」


 琴美はなんでも作れるよといった顔をしていた。実際になんでも作れるのだろう。料理の腕がピカイチな上にお菓子りも得意ときた。将来はいいお嫁さんになりそうだな。

 そんな遠くない未来のことを想像して頬を緩めていたら、琴美にからかわれた。


「蒼月君! 私と恋人になれたからってにやにやしすぎ!」

「そうは言ってもな、我慢しろっていう方が無理! てか、琴美だって同じ顔してるだろ」

「それは・・・・・・嬉しいんだもん」

「俺も同じ気持ち」


 俺の眼差しで琴美は耳まで赤くなっていた。そして、その眼差しから逃げるように琴美は立ち上がってソファーの横に置いてあるピンク色のショルダーバッグのところでしゃがんで、何やら取り出しいるようだった。


「何してるんだ?」

「はい。これ、もう一つの誕生日プレゼント」


 琴美は俺のことを一切見ずに、赤色のラッピング用紙で包まれた中くらいの箱を渡してきた。


「開けてもいいか?」

「・・・・・・うん」


 箱を開けると中にはシルバーで作られた楽器の琴が付いているネックレスと一枚の紙が入っていた。俺は、先にネックレスを取り出した。


「これ、高かったんじゃないのか?」


 見た目でしか判断できないが数千円はするのではないだろうか。琴美の家って確か・・・・・・。もしかして、無理をして買ってくれたんじゃ。


「そんなことはいいから」

「でも・・・・・・」

「いいから、私がつけてあげる」

 

 そう言って琴美は俺からネックレスを取ると俺の前に座って、手を首の後ろに回した。豊満な胸が顔の近くにあった。俺は思わず顔をそらして、ジッとしていた。


「ついたよ」

「て言われても、自分では見えん。似合ってるか?」



 自分では似合ってるか判断しかねるなので、琴美にそう聞くと、コクっと頷いた。


「そっか。素敵なプレゼントをありがとな」

「気に入ってくれた?」

「あたりまえだろ」


 箱の中に残っていた紙が気になって、俺はそれを取り出した。


「これは?」

「あ、それは・・・・・・」


その紙にはこう書かれていた。

『私の誕生日は11月11日だよ〜。10倍返しでよろしくね!!」

 

「10倍返しねー」


 俺は目を細めて琴美の顔を見た。


「それ、冗談で書いたんだから! まさか、今日付き合えるなんて思ってなかったし・・・・・・」


 琴美はあたふたとしていた。

 そんな姿も可愛いと思ってしまうあたり、俺は琴美にベタ惚れのようだ。

 そもそも、そんなこと言われなくてもそれくらいのお返しをするつもりだった。なんなら、今すぐにでも買いに行こうかと思ってたくらいだ。

 でも、琴美を誕生日を知ったからには、それはその時まで取っておこうと思った。

 

 そのかわり、俺は琴美を優しく抱き寄せた。

 琴美も俺の背中にそっと手を回した。

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