第46話 超絶美少女と祝杯開始(オムライス&親子丼)
琴美の調理の手際のよさは俺とは比べ物にならなかった。
あたりまえだけど。
「お待たせ~」
「早いな」
「まあ、簡単だからね」
琴美が俺の前に置いたのは美味しそうな匂いを漂わせている親子丼だった。
俺が親子丼を作ってもこんなに輝かせることはできないだろう。真っ白なご飯に乗った卵がキラキラと輝いていた。
「覚める前に食べちゃおう」
「そうだな」
琴美が俺の隣に座って二人でいただきますをする。
だけど、二人とも食べようとしなかった。どうやらお互いが相手が食べるのを待っているようだった。
「同時に食べようか」
「そうだね。このままだとお互い一口も食べないまま冷めることになっちゃう」
琴美がクスクスと笑ってる。
お互いにご飯にスプーンで一口すくって食べる。
琴美の親子丼は言わずもがな美味しい。問題は俺が作ったオムライスだ。果たして琴美の口に合うかどうか。
「どう……?」
「ん? どうって?」
「だから、美味しい?」
「当たり前じゃん。美味しいに決まってるじゃん。愛情、入れてくれたんでしょ?」
琴美がニヤッと笑った。
そりゃあ。琴美のことを思って作ったけど……。面と向かってそう言われると恥ずかしい。
「私の親子丼はどう?」
「もちろん、美味しいよ」
「でしょ。蒼月君への愛情たくさん入れてるからね!」
当たり前じゃんという風に琴美は言い切った。
「そっか。ありがと」
俺は照れながら頬をかいて言った。
こんなにも愛されてるなんて俺は幸せ者だな。
俺のオムライスを美味しそうに頬張る琴美を見てそう思った。
「はぁ~美味しかった。満腹!」
「お口に合ったようでよかったよ」
「言ったでしょ。どんなものでも美味しく食べるって」
「てことは美味しくなかったってことか?」
「そ、そんなことは……」
「なんで、言葉に詰まってるんだ?」
「冗談だって! ちゃんと美味しかったから」
「こ、と、み~。ちょっとこっちに来い!」
「やだよ~」
そう言いながら琴美はソファーから立ち上がってキッチンの方へ逃げて行った。
俺も追いかけるようにキッチンに向かう。
そして、冷蔵庫からケーキを取り出した。
「ケーキ食べるか?」
「うん。食べる!」
再びソファーに戻って俺が買っておいたケーキの箱を開けた。中にはレアチーズケーキと抹茶ケーキだった。
「どっちがいい?」
「う~ん。悩むから今回も半分個にしない?」
「琴美がそれでいいなら」
ということで二つのケーキを半分に切ってそれぞれの皿に乗せた。
「今回はスーパーのやつで悪いな。買う時間なかったから」
「ううん。大丈夫。蒼月君と一緒に食べれるなら、それだけで幸せ」
「……俺もだよ」
俺は琴美に聞こえないようにそう呟いた。
「さて、ケーキも食べ終えたし、今度は私が蒼月君にお祝いをあげないとね
「え……」
「一位おめでとう」
ほっぺたに柔らかいものが触れた。
琴美の顔を見てみると、赤くなっていた。
どうやら、琴美は俺のほっぺたにキスをしたようだった。
「もう、そんなに見つめないで恥ずかしい!」
「ご、ごめん……」
「まあ、いいけど。蒼月君だし……」
二回目の琴美とのキスは何だか恥ずかしくて、嬉しかった。ほっぺただけど。
一回目はあまりにも衝撃だったから正直あんまり実感がない。あのプルプルとした薄い唇と俺はキスをしたんだよな。思わず俺は琴美の唇を見つめてしまっていた。
「ちょ、ちょっとどこ見てるの!?」
「ご、ごめん……」
「なに、し、したいの……キス?」
「……」
俺は何も答えない代わりに、琴美の唇に吸い込まれるように3回目のキスをした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます