第20話 超絶美少女のドキドキ3

 その日は一日中、心臓がドキドキ鳴ってた。

 蒼月君は私の提案を受け入れてくれるだろうか。綺麗に巻けた髪型に気づいてくれるだろうか。

 朝からずっとそのことが頭の中をぐるぐると回っていた。


「どうしよう。めっちゃ緊張する」


 教室に入ると、蒼月君はすでに登校していた。

 私は深呼吸をして、いつも通り挨拶をした。


「蒼月君、おはよう」

「おはよう」


 蒼月君から挨拶が返ってくる。だけど、私が聞きたかった言葉は聞けなかった。

 私は少し寂しくなって、そのあと、すぐに自分の席に座った。

 仕方ない。気持ちを切り替えよう。放課後になったら、私は髪型よりも緊張することを蒼月君言うんだから。


 そして、気が付けば、あっという間に放課後になっていた。

 緊張しすぎていたのか、校長先生の話は何一つ覚えていなかった。

 私は一緒に帰ろうと蒼月君を誘って、学校を後にした。


 帰り道は緊張のせいか、あんまり話せなかった。

 早く言わないと、そう思うってもなかなか言葉にできなかった。

 毎日行ってもいい? なんて聞いて、もしも断られたら、私はきっと立ち上がれなくなる。それでも、進展するためには言わなきゃ。私はほんの少し勇気をふり絞ることにいた。


 結果を言うと、私の提案を蒼月君は受け入れてくれた。

 嬉しすぎて、心臓が飛び出しそうだった。

 とりあえず、これで一安心。夏休みは毎日一緒にいられる。それだけで幸せだったのに、まさか、髪型にも気づいていてくれたなんて。

 私の幸せは最高潮に達していた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る