第44話 超絶美少女と夏休み明けテスト結果

 琴美の母親との対面を終えた、数日後。 

 前回同様、夏休み明けテストの結果が廊下に張り出されていた。

 果たして、俺は琴美に勝つことができているのだろうか。

 今回も先に琴美がテスト結果を見たようだった。俺に気がつくと満面の笑みを浮かべていた。

 負けたか・・・・・・。


「蒼月君。おはよう」

「おはよう。その様子だと俺の負けだろうな」

「それはどうかな〜? 自分で結果見てみるといいよ〜」

「いや、いいよ。見なくても分かってる」

「いいから! いいから!」


 俺は琴美に背中を押されるようにして、生徒たちの群れを突破して、結果が書いてある掲示板の前に立った。

 見なくても琴美のあの顔を見れば俺が負けだってことは分かってる。それでも少しは期待してしまった。もしかしたら、負けてないかもしれないと・・・・・・。

 

 俺はゆっくりと下から自分の名前を探していった。二十位から十位の間には俺の名前はなかった。その代わり、英彦の名前が前回と同じ位置にあった。アリスの名前も英彦の一つ上にあった。さらに、上へと視線を上げる。

 前回の俺の順位は五位。そこまで見ても俺の名前はなかった。といことは、前回よりもいい? それとも二十位以内に入らなかったか・・・・・・。

 五位より上に書いてから名前を一人ずつ見ていった。 


 四位でもない。三位でもない。そこで、俺は違和感を覚えた。二位がなかった。

 てことは、一位が二人? 当然、琴美の名前もまだ出てきてなかった。一人は琴美で確定だろう。

 じゃあ、もう一人は?


「マジか・・・・・・」


 俺は一位のところに書いてある二人の名前を見て、言葉が出なくなった。


1位   七瀬 琴美

     佐伯 蒼月


「やったね! 蒼月君! 同率一位だよー!」

「みたいだな」


 まだ、実感が湧かなかった。

 本当に俺が一位?

 マジか・・・・・・。

 嬉しすぎて、思わず泣きそうになった。よかった。本当によかった。琴美と並ぶことができて。


「おめでとう」

 

 琴美が俺の頭をそっとなでてくれた。

 人に頭をなでられるのってこんなにも心が温かくなるのか。それが、好きな人だったらその温もりは何倍にも膨れ上がる。


「帰ったらお祝いしないとね!」

「そうだな。琴美のお祝いもしないと」


 今日は最高の1日になりそうだ。

 俺と琴美は一緒に教室に入った。


「よう。蒼月、おはよう」

「英彦、おはよう」


 テスト結果などに興味がない、英彦は教室の中にいた。


「どうしたんだ? 泣いたのか?」

「嬉しくてな・・・・・・」

「あー。そういうことか」


 英彦は俺がなんで泣いていたのか察したようだった。

 どうや、教室内はその話題でもちきりだった。


「よかったな」

「ありがと。てか、英彦、今回も十位だったな」

「そうか」


 やはり、自分のテスト結果には興味がないらしい。まあ、本人がそう思っているならそれでいいか。

 

「今日はご馳走なんじゃないのか?」

「どうだろうな」

「行ってもいいか?」

「ダメに決まってるだろ」

「冗談だ」


 俺と琴美の関係を知っている英彦は俺をからかうと自分の席に戻っていった。

 授業が始まる前から、俺は家に帰った後のことを考えていた。今日は琴美と一緒に料理を作ろう。

 今日は最高の一日になりそうだ。

 俺はもう一度その言葉を心の中で呟いた。

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